沢登り&海岸歩き@知床 コタキ川~知床岳~オキッチウシ川~西海岸~岬~東海岸
山行名:沢登り&海岸歩き@知床 コタキ川~知床岳~オキッチウシ川~西海岸~岬~東海岸
日程:2023年8月12日(土)夜発~18日(金)
メンバー:K川、K野、S藤、Sモア
ルート:
12日:11:11カムイワッカ湯の滝‐11:30硫黄山登山口‐14:40テッパンベツ川河口14:50‐15:44コタキ川50m付近C1
13日:05:33C1-08:33230m二股-10:00350m二股-13:44680m三股C2
14日:04:01C2-07:401100m付近07:50-09:58知床岳10:32-12:301182沼地12:40-15:30.113215:50-17:46知床沼C3
15日:04:37C3-06:30オキッチウシ川源頭部-10:40430m二股-14:20オキッチウシ川河口-16:30イタシュベワタラ-17:55アウンモイ川河口C4
16日:04:42C4-07:00ポロモイ川河口-09:10文吉湾09:40-10:30知床岬10:40-12:00赤岩-14:41兜岩先番屋C5
17日:Stay C5=C6
18日:03:33C6-04:30念仏岩-07:20ペキンの鼻07:50-12:10観音岩12:20-14:12相泊港
今年の夏の長期山行は知床の沢登り+海岸歩き!
長いし、ブッシュ漕ぎはあるし、クマも蠢く知床の海岸、大変なことは請け合いだが、先日の倉谷川に引き続いてK野きゅん、MKさんがこりずに参加してくれて4人で挑む。果たしてどうなることやら。
8月12日 いざ知床へ
前日の夜に斜里に集合して羅臼温泉野営場で前泊。
tentyoが相泊に車を置いてバスで戻ってくる間、熊の湯に入って入山前のお清め。
知床自然センター行きのバスに乗り込む。そこからバスを乗り継いでカムイワッカ湯の滝まで行くバスまで、少し時間があったので、おされにコーヒータイム。
そして、カムイワッカ湯の滝のトレッキングを楽しむであろう人々を横目に奥の林道へ歩を進める。いよいよ始まる長期山行に期待半分、不安半分。
そんな気持ちが空にも伝わったのか、予報にはない霧雨が降ったりやんだりする中のスタート。
最初は単調な林道歩き、うろちょろするキタキツネやエゾシカ、タヌキの死骸など知床らしい野生動物の息遣いを感じながら進んで行く。
アップダウンを繰り返すうちに天気も回復し、いよいよ海岸沿いへ出るぞ!というところで視界の端に黒い獣が。さっそく子グマと遭遇。奥によくよく目を凝らすと母グマが藪の中に鎮座している。さすがキンカムイことヒグマ。本当にでかい。
木に登ったりする子グマと動く気配のない母グマ。下手に刺激はできないので、海岸の方へ回り込みながら視界を外れるように距離を取って通過して事なきを得る。
なかなかの緊張感だった。
気を取り直して進んでいってテッパンベツ川河口へ。
ここから知床岳を目指して沢登りが始まる。最初は氾濫原の広い草原から灌木帯へ。
少し進んでテントを張るのにうってつけの場所を発見。予定より少し早いが、明日の行動も短めなので、今日はここまで。
晩御飯は麻婆春雨。そういえばsamoaは誕生日だったのでプリンをふるまってもらう。明日はどうなることやら。
8月13日 快適なコタキ川遡行
今日の行程はのんびり目なので4時起床。朝ごはんはこれから毎日お世話になるお馴染みマルタイ棒ラーメンだが、今回はK野きゅんがネットの力を駆使して色んな味を揃えて、今日は辛子高菜味。
のんびり準備したが、1時間半で出発できた。
最初は少し荒れ気味で、土砂ダムや倒木を越えながら進んでいく。
ふと近くの木から明らかにトビより遥かにデカい猛禽が飛び立つ。オジロワシだ。悠然とした姿、知床ならではの動物との出会いだ。
最後の崩壊地を越えると荒れた渓相も元通りになり、原生林の中の渓となる。沢もゴルジュチックになる。
火山っぽい岩や地形も見られていい感じだ。
230m二股を過ぎて、300mを過ぎたくらいからナメが出てくる。ちょいとヌメったりもするが概ね快適に登っていける。
標高500mくらいになると、もう両岸の木の背が低くなってきて、もう源頭のような雰囲気になってくる。
広々とした青空のもとナメを歩いていく。
標高を上げるにつれて、硫黄岳が見えてくるようになる。
そんなこんなで680m三股にたどり着いて10mの滝にぶち当たる。
右岸のフキの台地を探すと、滝が望めるいいテンバがある。今日はここまで。適当に整地して設営する。
この当たりのフキを食べているのか繊維質の大きなクマ糞があってかなりビビる。
電波が入らないので昨日からラジオで天気図を取っているが、MKがジャンケン2連敗で今日もとる羽目に。
やっぱり台風を含む夏の天気図はなかなか難しそうだ。
今日の晩御飯はジフィーズのビーフシチューに粉末から作るチーズをかける。なかなか絶品。途中とったフキも塩昆布漬けにして食べる。うまい。
夕焼の硫黄岳を眺めたあとは、美しい星空が広がり始めるが、明日は長時間行動が見込まれるので程々にして沈
。明日は藪漕ぎday。
14日 知床のブッシュの洗礼
2時半起き、今日の棒ラーはゴマ醤油味。追いすりゴマもあって美味しい。
今日もぱっぱっと準備をして4時頃発。
早速10mの滝を巻きにかかる。三股まで少し戻って左岸の尾根を登って巻く。
ほぼほぼ滝上に出る。続く小滝を2つくらいこなすと再び川幅いっぱいのナメロード。
朝一で陽が差していいないのが残念ではあるが、振り返れば今日も硫黄岳が良く望める。
気持ちよくナメを歩いていくと800mで伏流して水が枯れてしまう。
水を汲んでここからは沢型たどり。枯れ沢ながらナメも出てくると思っていたら10mくらいの大きな涸滝にぶち当たる。これは弱点をついてノーザイルで登れる。上部少しムーブ大きめか。
なるべく沢型を捕まえて上部を目指したいところだが、900mを越えたあたりからいよいよササが覆いかぶさってきてブッシュ漕ぎの始まりだ。
最初のうちは沢型見たいものを辿れていた気もするが、1000mを過ぎると太いササに加えたまに灌木も交じりそれどころではない感じ。
文章で書くとあっさりしてしまうが、とにかくササをかき分けかき分け1100mのちょっとした草地帯に出てちょっと一息。これまでの藪が嘘みたいに気持ちのいいところだ。
しかし、ここからブッシュのないところへ登れるだけ登って、段差を越えるといよいよハイマツ帯に突入。これまでのササは当然前座で、真打登場といったところだ。
踏み跡もなにもないハイマツ帯の藪漕ぎをするのは久方ぶりでなかなかしんどい。斜度のある1100~1150mが特に大変。
たった150mの標高差を上げて知床岳のピークへと続く稜線へ出るのに2時間弱かかる。
荷物をおいて知床岳At。
稜線には踏み跡はあるものの、やはりブッシュは少し漕がなくてはならない感じ。
ニセPにも騙されながら知床岳の三角点に辿り着く。先に続くポロモイ岳、ウィーヌプリ、そして目指す岬が望める。ちなみに知床岳は11年前の3月に来て以来2度目。
ピーク写真を撮って、携帯の電波がギリギリ入るので週間天気を確認してピークを後にする。
荷物を回収して知床沼を目指す。しばらくは踏み跡を辿りながらヤブのうるさい稜線を進んで行く。ずっと稜線を歩いていくのもしんどいので、草地を繋げそうな見通しを付けて、知床台地の沼目指す。
目論見通り草地を使いながら、クマをはじめとする動物の足跡がたくさんある沼へついて一休み。ここまでですでに8時間近く動いている。
地図で見ると知床沼までそう遠くないようにも見えるが、ここから先もハイマツの海。これまでのコースタイムから見ても希望的観測は持てなさそうだ。
悲観的になっても仕方ないので、先を目指す。
右手の尾根から離れないようにブッシュを漕いでいき、ポロモイ台地へつながる尾根に出る。
真尾根状を馬鹿正直に行くとブッシュが大変なので、多少急ではあるが尾根の右手のササが優占しているところを行ける限り行く。時折足を滑らせそうになったり、急すぎて際を行けず尾根上でブッシュ漕ぎを強いられもしたが、ずっとハイマツよりはましという感じで進んで行ける。
.1132まで2時間くらいかと思っていたが、疲れもあり目で見た距離の感覚ではたどり着けなくなってくる。
.1132を越えるとやっとこさ知床沼を望むことができるようになった。
最初のうちは踏み跡を捕まえながらササが優占するところを進めていたが、踏み跡をロストすると同時にハイマツ漕ぎを強いられる。
知床沼は見えているのになかなかつかない、その上長時間行動で精神的にも体力的にもけっこうやられてきた。
剛毛だったハイマツも沼に近づくころには少し細めになり、最後は草地を繋いで沼へ。
しかし、指定キャンプ地は沼の向こう側。最後の最後にズボンのすそを濡らしながら、暮れなずむキャンプ地へ。
少し風があって寒く、テントを立てて転がり込んでやっとこさ脱力。
1日ブッシュを漕ぎ続け服は破け、腕は傷だらけでまさにボロボロ(笑)。
こんな日はようやく登場、晩御飯のペミ。動きに動いたからこそ身に染みる。
そういえば途中とったアイヌネギをコンビーフと一緒に炒めて食べた。これも美味。
オホーツク海の高気圧が明日明後日くらいまでなんと頑張ってくれそうなので予定通り岬を目指す。台風がやってくる明後日はステイかななんて言いながら、知床らしい素晴らしい星空の下沈。
15日 目指せ海岸
今日も長時間行動が見込まれるの2時起き。今日の棒ラーは屋台とんこつ味。
疲れもあるのか、撤収に2時間かかって4時出発。外はガスガス、稜線だけかな。
今日も今日とてオキッチウシ川源頭を目指してのハイマツ漕ぎ。
沼の周りなので多少は背の低いハイマツかと思ったが、まったくの剛毛ハイマツ。
視界も効きにくい中、コンパスを駆使して方向を定めて進む。しかし、本当に剛毛で小手先のかわしなどはできずひたすら漕ぐ感じ。
やっとこさ源頭に辿り着き、下り始めてからもしばらくは沢型が捕まらず、見つけたと思っても、火山地形らしい大きな岩が詰まっていて思うように進まず、ともすれば穴に落ちるような始末。
700mくらいのガレ場で一休みして少し下って550mで水が出てきたあたりで、本当に丸1日ぶりにブッシュ漕ぎから解放される。
そこからは普通の沢。普段はちょっとだるい沢の下降だが、これまでにくらべたら天国みたいだと思っていたら、トップの少し先から巨大なクマが逃げていく。ブッシュ漕ぎに夢中だったが、こちらは引き続き気を抜けない。
430m二股手前には大きな滝が2つある。
1つ目は左岸の捨て縄がついている木を支点に懸垂。30mロープでは沢身までは届かないものの、歩いて降りれるところまでは下降可能。
2つ目は二股手前。これは鹿道のついて右岸から巻いて、そのまま左股でてしまって二股に出る。
300mを過ぎたくらいから両岸も平坦になり、沢中ではなく鹿道を使って歩いて行けるので快適。しかしながらツタウルシの繁茂っぷりはやばかったが、今日もアイヌネギがとれた。
途中謎の沼地に迷い込んだりしながらひたすら鹿道を下ろしていく。
標高を100m切ったあたりから渓相もナメが優占する岩盤質になり、両岸も切り立ってくるので沢中を行くが、ヌメるの気が抜けない。
海岸特有の岩壁が近づいてきて、果たして何度目かの屈曲を越えると眼前に海が広がる。これはなかなか劇的で爽快だなんて思っていたら、左岸を大きなクマが逃げていく。のんびりしてただろうにごめんよ。
一休みして、今日の泊地であるアウンモイ下降を目指す。
ここまで長かったがここからが今山行の第二章、海岸歩きのスタートだ。
最初のレタラワタラは岩礁を歩いて越えることができた。
巨大な観音岩を横目に見ながら、石浜は飛び石チックに進んで行く。たまにガレガレしたりして地味にやられる。
途中、天気図をとったりしながらイタシュベワタラへ。へつりでの通過となるが、ホールドスタンスともに細かく、テンバ近づく中、絶対にドボンしたくないので緊張感の高い突破となった。
その少し滝にへつれなところが出てくる。まぁ泳いでしまえばいいのだが、上記のとおりテンバも近いので岩場の巻きを選択するも、どうしても最後2mくらいが降りられないので、大岩に捨て縄をかけて懸垂。
あとはニョッキと映える岩の横なんかを岩礁を使って歩いたりしてアウンモイ河口と思ったところで岩陰からクマが出てくる。もう少し先にももう一頭いるのが見えたが、こちらはすぐに山の手に逃げて行った。
ただ岩陰から出てきたクマはなかなか、逃げていく気配はない。サイズから若いクマのようだが、我々も進みたいので距離を取りつつ山へ行くよう促す。
しぶしぶ、我々が進む方向へ歩き始めるクマ。河口の向こう側に行って山の手の斜面に入っていったのを確認して、一安心。
なんだかんだで今日も日暮近くとなってしまった。
今日もペミカンシチューと途中で採ったアイヌネギの炒め物。美味。
ラジオによると明日は午後から天気は下り坂、明後日はついに台風がやってくる。
天気的に目標であるペキンまで辿り着くのは難しいかもしれないが行けるところまで行こう。
今日も星が奇麗でついつい夜更かし。
16日 シリエトク(地の果て)へ
今日も頑張って動かなくてはならないが、疲れもあるので3時起き。
今日も今日とて、味のバリエーションがつきていつもの屋台味となった棒ラーメンをすすって4時半くらいに出発。9時半干潮なので海岸歩きにはうってつけ。
歩き始めてすぐに岩場帯となるが最初のついはへつりと岩礁で進んでいけるが、アウンモイ川からもう一本北のウニの川河口の大きな入り江でついに泳ぎを強いられる。
防水を今一度確認して南無三と飛び込んで20mくらい泳いで対岸へ。
そこまで寒くもないので一回泳いでしまえば、まぁこんなもんかという感じだが、ブッシュ漕ぎで傷だらけ身体には別の意味で染みる。
その先でも一ケ所短い距離を泳ぐ場面もあったが、あとは概ね岩礁歩きや岩場の大穴をくぐったりでポロモイ河口へ。そこからしばらく石浜を歩いていくとメガネ手前から岩帯。
まさしく干潮の時間なので岩礁帯を歩いて行ける。大きな岩橋となっている名前通りのメガネ岩をくぐったり、波間に揺れる立派な昆布やアマモ、そしてダイナミックな知床の海岸地形を見たりと、これぞ海岸歩き!とその醍醐味をかみしめながら進む。
獅子岩の手前で泳ぎがあるとのことだったが、干潮のおかげかちょっろとくらい。
ふと大きな潮だまりのアマモの上で青いものがキラキラしている。よくよく見ると小さなカタクチイワシがアマモに絡めとられている。
沿岸に寄ってきてそのまま取り残されてしまったのだろうか。
少し大きめの個体を捕まえて手開きにしていただく。美味しいけどちょっと生臭い。薬味は偉大だ。
そんなこんなで、メガネ岩と引けを取らない大岩の橋や岩塔群なんかを楽しみながら岩礁を歩いていくと、文吉湾の堤防に辿り着く。
テトラポットをうまく使って堤防に上り、端まであるいて文吉湾の降り立つが、進む先にそこそこ大きめのクマの姿が見える。
ありゃりゃ、距離をとりながらこちらも存在をしらしめるが、お構いなしでいろいろごそごそしながらこっちへ向かってくる。うーん、一目散にこっちに向かってくる感じなので我々に興味はなさそうだが、近づいてくるのはいい気分ではなく、あわてて堤防上に登り返して、様子を見る。
ゆっくりゆっくりさっきまで我々が居たところに差し掛かり、堤防の上に乗り…
歩てきた海岸の方へ向かっていった。向こうにいったのが分かりほっと一安心。
なかなかの緊張感だった。
文吉湾の番屋の奥に続く草地の踏み跡から岬へと続く大地へ上がる。
春は雪の草原だったが、ハンゴンソウが一面に広がり黄色い花を咲かしている。
腰丈位のササや草の中の踏み跡を小一時間くらい歩いて、岬へたどり着く。
なんとか来ることができて感無量、samoaは11年ぶり3回目の岬だが、本当にシリエトクこと地の果てだ。
ピークに辿り着いた時とは違う、もうこの先には歩けるところはないというのもまじまじと感じる、不思議な感情にいつもいつも襲われる特別な場所だ。
ふと、行ける限り先っぽまでとおもって海岸を覗き込むと、これまでの個体よりもひと際大きいヒグマが海岸を闊歩している。顔のところは金色で、キンカムイというのにふさわしい一頭だった。
そんなにのんびりもしていられないので、写真を撮って東海岸へ向かう。
一度も上がったことないなと思いながら岬の灯台を見送って、行けるところまで草原を行って海岸に降り立つ。斜里側は青空だったのに羅臼側に回り込んだら一気に天気が悪く、風も強くなった。
さて再びの海岸歩き。連日の行動に少し疲れも出てきたかなという感じだが、ふと遠めに他の岩よりも明らかに黒いモノがあるのが見える。でも動く気配がない。
岩かなと思ってさらに近づくと少しだけ動く。クマがなにか一生懸命食べているようだ。
採餌中の個体をあんまり刺激したくないし、海岸は狭くすれ違うにも距離を取りにくそう。海を見ると潮は満ちつつあるものの岩礁を歩けそうとうことで、そちらから巻くことにする。
海藻が繁茂し歩きにくい岩礁を膝下くらいまで濡らして歩いている、風も強く波もそこそこあるので、なかなか極い感じだ。
遠めになにを食べているのか窺っていると岩をひっくり返して漁っている感じで、何を食べているのかは分からなかった。
よくわからない感じで体力を削られて、続く兜岩へ。
ここは海岸沿いを行くことはできないので巻きとなる。残置ロープのついた脆いルンぜ地形をひたすら登る。浮石だらけなので落石には要注意。残置ロープは上までついていない。
兜岩の上に上がると収束風なのか風が強い。適当に踏み跡を辿って下ろしていくと、最後20mくらいが登り程斜度はないものの脆いルンぜ地形となり、残置ロープを頼りに下ろす。
はてさて、降りた先は立派な番屋が。
しかも防風用のテトラポットもあり、少し先では水を取ることもできる。
明日は台風で1日動けなさそうだが、明後日天気が回復すれば、1日で相泊まで行けるところまで進むことができた。
ということで、今日はここで幕営することにする。そもそも5日間動き通しで疲れた。
さっそくテントを立てて、浸水がないか確認したりしとテントの周りでだらだら。
今日も今日とて天気図を取ったり、岬到達記念のビールを飲んだりしたり平和に過ごしていたのだが、ラジオの入りが悪いので電波を探しいこうとしたtentyoがこちらに近づいてくるクマを発見。
文吉湾の個体同様、こちらの存在をアピールするもお構いなしに近づいてきて再び緊張が走る。
荷物を大急ぎでテントへ片付けながら、様子を伺い続けるも近づいてくる。熊スプレーの安全装置も外して構え、いかにというところで、クマがテトラポットの向こう側に回り込んで避けてくれた。
しばらく姿は見えなかったが、ほどなく兜岩のすごいところを登っていく姿が見えてようやく一息つくことができた。
そんな事件もありつつ、ようやく晩御飯。ペミは2食だけなのでジフィーズのカレー。今日もチーズが登場し美味。
なんとかNHK第一を聞き取るが、やはり明日は停滞。ただ午後から回復する感じなので、明後日は行動できそうだ。寝入るまで雨が降らなくてよかった。
17日 ステイ
朝から雨がテントを叩く音が聞こえている。ここ五日の週間からか割と早くに目が覚めてしまったが、ヒマなだけなので眠るだけ寝て、空腹が我慢できなくなったくらいでのそのそとシュラフから出て朝ごはんを作る。
今日は棒ラーメンじゃなくて沖縄そば。ちょっとしょっぱが美味しい。
寝てばかりもいられないが、ステイのお供トランプもないので、京都に戻った院試というMKから、その分野のクイズを出題してもらう。
ほとんど難しいが、K野きゅんのグルコマンナンの奇跡なんかもあって割と盛り上がる。
ふと人の声がすると思って顔を出すと2人組が歩いてきた。
昨日、夫婦滝のところにテントを張って今日岬へということだ。
なかなかの天気の中でも無事往けたようだったが、強風で眼鏡が飛ばされたとのことだった。本当にお疲れ様です。
お昼寝を挟んで、いよいよ極まったのでつまみを出して酒盛り。
晩御飯は再びの棒ラー。明日の朝を含めてあと1回か。
天気図や概況的には明日は回復しそう。現に岬のほうは雲も消え虹が出始めた。
もしかしたら明日の朝くらいまで小雨が残るかもくらいの気持ちで沈。
18日 相泊へ
相も変わらずコースタイムは読めないので、2時起きで3時半出発。
最後の棒ラーメンを啜って外に出ると空には星が輝いていた。
30分ほどで念仏岩の巻きだ。兜岩同様、残置ロープのある急斜を登っていき、2mくらいクライミングっちくなところを越えてバンド状に入って上へ出る。
ちょうど国後島の端から朝陽が顔を出し、海の上に光の道を作る。それを祝うようにイワツバメが鳴きながら空を舞う。知床ならではの朝の始まりだ。
冬に苦労した下降部分は残置ロープ頼りで下ろして、バンド状を進んで最後は草の中を下ろしておしまい。
大きな夫婦滝を見送り、昨日岬へ行ったお二人に挨拶し、滝の下に差し掛かったくらいで、親子のクマが打ち上げられたコンブの下を漁っている。
ちょっと様子を見ていると母クマがこちらに気づき、子クマを促しながら茂みの方に入っていく。何度も名残惜しそうに振り返る子グマに申し訳ないと思いつつ、通過させてもらう。
滝川の岩のトンネルをくぐて下降を越えた先にもコンブを漁るクマが。今度は単体でこっちを気にする様子もない。どこかに行く気配もないので、可能な限り距離をとって山側を歩いて通過する。
ペキンの鼻まではときおり巨岩を交えた石浜歩き。
三度岩の裏側で夢中でコンブを漁るクマ。これも夢中なので先ほどと同様山側を距離を取って巻く。
トップを歩くK野キュンの声に反応して逃げて行った個体もいた。
そんなクマイベントをこなしながら近藤ヶ淵へ。泳ぎがあるかと思っていたが、へつり+膝上くらいで越えることができた。
ペキンの鼻の巻きは踏み跡を辿るだけ、と思っていたら下りの斜面で若いクマが草の実をむさぼっている。微妙に気付かなかったが、あっちもまったくこっちに興味はない感じだった。
わりとノンストップで歩いてきたのでペキン川の河口で大休止。
ステイを挟んだおかげか、ここまで順調なペースだ。
船泊を越えて、メガネ岩に差し掛かる。ここは冬は毎度緊張を強いられるところだが、沢足袋でのへつりは楽勝でメガネの由来の岩穴を通過できる。
続く剣岩は冬のセオリーと同様岩棚を歩いて通過。
立派な番屋のあるモイレウシ川河口には船で釣り客が来ていた。聞くとカラフトマス、いわゆるキングサーモンを狙っているそうな。
モイレウシ川先の岩場を巻いて越えると、タケノコ岩前後の巨岩帯に差し掛かる。
冬もそうだがこれがなかなか面倒くさい。結構高さもあり、足を踏み外したら怪我もしそうなところもあるので、適当にも行けない。K野きゅんと二人でなんとかルートファインディングして抜ける。
タケノコ岩自体は岩棚で通過し、その先の入り江も一見へつりに見えるが、奥にある穴を通って抜ける。この辺りは冬の記憶も活きる感じ。
化石浜にさしかかるが、石浜を歩くだけ、単調かつ昨日のステイ貯金が切れてきて疲れが出てくる。ダラダラあるいて、トッカリ瀬(ワンゲルでいうところの嘴)。
岩の入り江が連続するが、冬でもへつれるところなので、難なくへつりで通過。
ウナキベツ川河口を越えれば最後のポイント観音岩。登っていく部分は特に問題なく、名前のとおり観音様が数基安置されている。
下りは急な岩場で、中段くらいまでクライムダウンして、後半は残置ロープだより。
ここで怪我してもつまらないので慎重においる。
観音岩を回り込むと、ついに電信柱と番屋群が見える。ただよくよく地図と照らし合わせると相泊ではなくカモイウンベ河口付近。
あとは国後を横目に石浜を歩くだけだが、序盤は飛び石ちっくでいけたが中盤以降石浜歩きとなってなかなかにだるいかんじで、底の薄くなった沢足袋ではなかなか足裏にダメージがくる。
コンブを干してたり、網を手入れしている漁師さんなんかに挨拶しながら、カモイウンベ河口を回り込むとついに相泊が見え、それから30分もしないうちに港に辿りくことができた。
久しぶりの7日にも及ぶ夏の長期山行を貫徹できて感無量。極くて楽しい7日間本当に最高だった。
下山写真を撮って、愛車に辿り着いて4人でがっつり握手。本当にお疲れ様でした。
とおまわりの横前さんに連絡すると、なんと今日泊めてもらえるとのこと。こっちも本当にうれしい。
入山前に海岸歩きのレクチャーを受けたルサのネイチャーセンターで岬到達の記念スタンプを押してもらい、熊の湯で7日間の汗を流す。傷だらけの体にちょっぴり染みるがそれすらも心地よい。
そしてとおまわりへなだれ込む。晩御飯まで少し時間があったので久方ぶりの布団で死んだように眠って、お楽しみの海鮮祭りでおなかが悲鳴をあげるまで食べさせてもらう。本当に幸せとしかいいようがない。
お腹がいっぱいになったあとは横前さんといろいろな話で盛り上がり、気がついたら2時。
翌日は朝から美味しいいくらご飯をいただいて、道東グルメドライブの後斜里のキャンプ場でお約束にセコマ宴会。
まだまだ余韻の残る中、翌朝斜里駅で解散してそれぞれの帰路についたのだった。