海外遠征@ネパール ロブチェ・イースト

山行名:海外遠征@ネパール ロブチェ・イースト
日程:2023年10月17日~28日
メンバー:H岡、K川

ルート:
10/15 ネパール入国
10/16 カトマンズにて打ち合わせなど
10/17 カトマンズ(ジープ)ラメチャプ空港(飛行機)ルクラ→パクディンC1
10/18 C1→ナムチェ・バザールC2
10/19 C2→クムジュンC3
10/20 C3→ポルチェC4
10/21 C4→ペリチェ→トゥクラC5
10/22 C5→高所順応のためロブチェ・イーストBCへ→C5=C6
10/23 C6→ゴラクシェプ→エベレストBC→ゴラクシェプC7
10/24 C7→ロブチェC8
10/25 C8→ロブチェ・イーストBCC9
10/26 C9→ロブチェ・イーストAt→ロブチェ・イーストBC→ペリチェC10
10/27 C10→ナムチェ・バザールC11
10/28 C11→ルクラ
10/29 ルクラ(飛行機)ラメチャプ空港(ジープ)カトマンズ

 

ネパールは学生時代以来、10年ぶりである。
10年前はツクチェ(6920m)を目指し、叶わなかった。このままだと今際の際にヒマラヤの夢を見るに違いない、そう思ってヒマラヤ登山への再挑戦を決めた。
まぁ、ネパールが大好きなんだな。もう一度行けて、サイコーでした。

10/15
朝10時に関空から飛び立つと、17時(現地時間)にはネパールである。あっという間だ。トリブバン空港へお世話になるエージェントに迎えに来てもらい、その日はタメルのホテルに宿泊。

10/16
あさイチで今回お世話になるガイドとの顏合わせと打ち合わせ。ガイドのキタプさんは何度も8000m峰に登頂したことのある、ベテランのクライミングシェルパである。

10/17
深夜2時にカトマンズを出発。4時間ジープに揺られてラメチャプ空港に向かう。始発の7時の飛行機に乗りたいのである。しかし、空港についてみると大混雑。前日までの悪天候で欠航になった飛行機の乗客がわんさと押し寄せていたのである。結局、私たちが飛行機に乗れたのは夕方であった。まあ、これもネパール。
日が傾いたルクラに着き、少し軽食を摂って歩き出す。もはや周りは真っ暗だが、明日の行程のためには仕方なし。結局2時間ほど歩いて本日の宿に着。周りにどんな景色が広がっているかも分からないまま、本日は終了。

10/18
目覚めて外に出ると、遠くに白い頂が見える。ついにヒマラヤトレッキングが始まったのだと実感する。本日はナムチェバザールまで。道は石畳の歩きやすいきれいな道で、道沿いにはチベット族の村が連なっている。食べるものや飲むものはそうした村のロッジや売店で賄える。まるで上高地みたいだ。道はトレッカーや村々に荷物を運ぶポーター、荷物を満載した馬やゾッキョが行き交い、えらいにぎわいである。トレッキング道は生活道路でもある。
午後、少し雨に降られたが、ナムチェバザールに到着。このトレッキング道沿いでは最も大きい街で、薬局でもBarでも何でもある大都会だ。明日はいよいよエベレストを望む予定である。

10/19
ホテル・エベレストビューに向かって出発。途中、最近できたビジターセンターに寄る。入場料は無料で、エベレスト周辺のごみ処理問題の動画を見せてもらった。実のところ、10年前にネパールに来た時よりも格段に道に落ちているゴミが少なくなっている。こうした地道な努力が実を結んでいるのだろう。2時間ほど歩き、シックな佇まいのホテル・エベレストビューでお茶をして、すぐ近くのクムジュン村へ。立派な家の立ち並ぶきれいな村で、人も少ないので、ナムチェに泊まるよりお勧め。イエティの頭の皮があるゴンパや、ヒラリー卿が建てた学校などを見学してのんびり過ごす。

10/20
毎日晴れる。ありがたいものだ。渓谷沿いの道を歩いて、ポルチェの村まで。昨日と今日は高所順応のために、行動時間も上げる標高も控えめである。お昼にはポルチェに着いて、村を散策する。畑には蕎麦が植わっている。標高が高くなって、夜は冷え込むようになった。日没後はダウンを着込まないと寒い。食堂のストーブを点けてくれるが、燃料はヤクの糞を円盤状に乾かしたものだ。

10/21
ポルチェからトゥクラまで歩く。渓谷の対岸よりもマイナーなルートのため、静かなトレッキングを楽しむ。いよいよ景色は荒涼として、ローツェ、ヌプツェ、アマダブラム、名だたる山々が眼前に迫る。村の家々の周りには畑地も花壇もなく、ヤクが乏しい草を喰む。クーンブ氷河の入口、数軒のロッジだけが立ち並ぶ集落がトゥクラだ。今日、明日はここで泊。

10/22
今日はロブチェ・イーストのベースキャンプまでハイキングだ。トゥクラから緩やかに登っていくと、名残の高山植物が咲いている。さすがに5000mを越えてくると、立ちくらみや軽い頭痛がして、高所障害が出てくる。のんびり2時間ほどでBCへ。BCはさながらテント村。宿泊テントとキッチンテントが立ち並ぶ。暖かいお茶を出してもらって、ロブチェ・イーストを眺め、トゥクラへ引き返し。この日からダイアモックスを飲む。

10/23
頭痛は収まり、高所順応できた気がする。今日はゴラクシェプまで。昼頃について、昼ごはんを食べ、エベレストBCに出発。さすが人気スポット、トレッカーがぐっと多くなる。エベレストの登山シーズンは春らしく、フィックスロープを片付けるシェルパ達のテントのみ残っている。アイスフォール帯の大きさに圧倒される。8000m峰を登るということは、とてつもないことなのだと実感する。

10/24
ゴラクシェプからロブチェまで。クーンブ氷河沿いの道は冷たい風が吹く。ロブチェの村では、10年前の遠征でお世話になったガイドと再会できた。遠い記憶の彼方に消えかかっていた思い出が次々に蘇る。今度こそピークに登ってくるよと言って別れる。

10/25
ロブチェ・イーストのBCに入る日。ロブチェ・イーストの東壁を眺めながら標高をあげていく。かっこいい壁だ。お昼にはBCに着いてのんびり英気を養っていると、午後からは雲が湧き雪が降り出した。寒くてシュラフにくるまって時間を過ごしていると、テントの外を鳥が何羽もウロウロ歩き回る音がする。チベットセッケイ。ライチョウみたいに人を恐れず、愛嬌のある鳥だ。さて、明日は勝負日。

10/26
2時に出発。もちろん真っ暗である。5700m付近まで雪はなく、ゴーロをケルンを頼りに登っていく。5700mから雪が出てくるため、アイゼンに履き替える。アイゼンに履き替えてすぐ、10m程の岩場が出てくる。スタンスは細かいが、FIXロープがあるので、丁寧にアイゼンの前爪をかけながら、ユマール頼りに登っていく。岩場が終わればあとはカチカチの雪面の急斜。ピッケルは刺さらず、ユマール頼り。さすがに息が切れる。ゆっくり登っていくと、夜が明け、周りの山々がピンク色に染まる。この世に、こんなに美しい景色があるか。感激しながらピークへ。ロブチェ・イーストの本当のピークは6190m地点だが、クレバスを超えないといけないので、たいていは6090mで終了だ。残念だが、今回はこれで十分満足だ。せめてとキタプさんが稜線の上に上げてくれた。ああ!チョー・オユー!マカルー!これまで本やテレビでしか知らなかったヒマラヤの山々にぐるりと囲まれる。幸せだ。
下りはFIXロープを使って懸垂下降をする。他のパーティーはFIXロープを環付きカラビナに通しただけの状態でどんどん下って行ったが、私たちは万全を期す。どんどん下ってBCへ。約9時間のアタックであった。
BCで荷物をまとめてもうひと頑張りしてペリチェへ。夜はカトマンズ以来のビールで祝杯をあげる。

10/27
ナムチェバザールまでどんどん下る。行きしなとは微妙にルートが違うため、飽きずに楽しい。岩と雪の荒涼とした景色が、紅葉のトレッキングルートへ季節が巻き戻っていく。

10/28
ルクラまでどんどん下る。暖かくなっていくのがうれしいが、色んな山に別れを告げるのは寂しい。さよなら、エベレスト、ローツェ…

10/29
無事に午前中の飛行機に乗って、ラメチャプ空港まで。そこからはジープに乗ってカトマンズへ。夢のような2週間だった。きっと生涯思い出すだろう。

(文責 K川)

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