無雪期縦走@北アルプス 横尾本谷~槍ヶ岳

山行名:無雪期縦走@北アルプス 横尾本谷~槍ヶ岳
日程:2023年6月23日(金)~25日(日)
メンバー:Sモア
ルート:
23日:17:33上高地バスターミナルー18:47徳沢-19:37横尾C1
24日:03:01横尾-04:01本谷橋-05:36二俣-09:00キレット稜線-10:12南岳小屋10:23-11:50中岳12:00-13:35槍ヶ岳山荘C2
-18:10-18:22槍ヶ岳19:20-19:45C2
25日03:40C2-04:02槍ヶ岳04:40-05:08C205:19-05:46ヒュッテ大槍05:51-07:00槍沢・天狗原分岐-08:03ババ平
-09:34横尾山荘09:36-10:47徳澤園11:30-12:13上高地バスターミナル

いろいろ事情があって軽めの山が続いていたが、そろそろ夏に向けて本腰をということで、久々に単独で行ける、金曜午後休取れるなど諸条件から行先をいろいろ考え、横尾本谷左俣からキレット稜線に上がって、これまで行ったことのない槍ヶ岳を目指すことにする。
前回の単独行は悶絶だったが果たして。

23日 雨の上高地
仕事を午前で切り上げそのまま車であかんだな駐車場を目指す。
なんとか4時20分くらいについて最終バスに乗り込む。
うつらうつらしながら上高地に着くと雨がざんざん降り。あれま。傘持ってきたらよかったと思いつつ、雨具を着込んで出発。
夏至直後なので19時半くらいまで明るいのをいいことに横尾まで行ってテントを張る。
雨の中のテントはやっぱり不快だが、明日以降の好天を期待して沈。

24日 雪渓の本谷から岩稜へ
朝は2時半起き。予報通り雨は止んでいる。
おにぎりを食べて、そそくさとテントを畳んで3時過ぎに出発。

とりあえず、本谷橋まで行くがなんとなく時期的に水量多い気がして、以前本谷いった時と同様、少し先のガレ沢を下ろすことにする。
ただ一人で降りたからよかったものの中々浮石も多くて微妙な下降ルートだった。

沢沿いを進むも沢登りと違って靴を濡らせないのでちょっとしたところも軽く巻いたりしながら進む。
横尾本谷二股までも雪渓がちょっとあったが、横尾本谷からはがっつり雪渓歩き。

最初のうちは斜度もなくアイゼンなしで歩いて行ける。思ったよりも早く左俣右俣を分ける二股に辿り着く。
左俣に入ると斜度も増してくるのでアイゼンを装着。
雪渓の上に落石がちらほらあるが、歩いている対岸から落石があったので、落石が多く転がっているところを歩くのを避けたり休憩しないよう注意が必要。

記録でよく見る大滝を左手に見送った2350m付近でルートが二手に分かれ、さらに斜度が増してくる。キレット稜線直下以外ではこのあたりが一番急。
右手が直接カールに出るルートだが、北穂池をチラ見したいのもあって左手に進む。
斜度が緩くなり2550mくらいからカールに向けてトラバースするのだが、この辺りで北穂東稜側に振り返ると、北穂池を見ることができる。
次回はここを経由して北穂に行ってみたいところ。

さて、アイゼンを外してトラバースはに入る。
ちょっと灌木やらハイマツやらがうるさい感じ。高度を下げないよう歩きやすいところを進んで行く。
カールに出てからも、キレット最低部をまっすぐ目指せるところまでハイマツと雪代の間くらいをトラバース。

青空が優占し、目の前のキレット岩稜、左手には昨秋登った北穂東稜、右手には南岳に続く岩稜と、まさにカールの中といった景色で気持ちが良い。

稜線へのルートだが、秋時期などによく登られているであろうキレット最低部に上がるルートは雪のつき方が微妙かつかなりの斜度に見える。
一本左の沢型が雪のつき方もよく、見た目にも地図的にも緩いので、そこを目指す。

高度も上がってきて息もしんどくなってくる中えっちらおっちら登っていく。
登りやすいところ登ったが、最後は岩の基部に寄りすぎてちょっと怖かったので雪渓と岩の基部の間に入ってハイマツを一瞬漕いで稜線へ。
バリエーション部分も終わってちょっと一息。ちょうどガスも飛んで北穂もきれいに見えている。

とりあえず南岳を目指して歩を進める。
軽いアップダウンを繰り返しながら進み南岳で一気に標高を上げる。
南岳手前に鎖場やハシゴがあり、それ以外でも落ちたらアウトというところもあるが、とりわけてここが怖い!というところはない感じ。

南岳までに10人くらいとすれ違ったのが、何故か全員外国の方。同じパーティなのか分からないが、いったいどこのアルプスに来たのだろうという気持ちになる。

南岳小屋までひぃひぃ言いながら登って大休止。ガス多めだが、自分のいるところは青空になり、気持ちがいい感じだ。
時折ガスが切れて見える表銀座を横目に進み、中岳に上がるとようやく日本人に会うことが出来た。

中岳の下りのハシゴをこなし、イワヒバリなんかと戯れながら大喰岳に上がるとようやく遮るものなく槍ヶ岳を望むことが出来た。
と思ったのもつかの間、ガスに巻かれてしまう。

あと一息と気力を振り絞り飛騨乗越を経て槍ヶ岳山荘のテント場に辿り着く。あ~疲れた~。
手続きをしてテントを立てて、小屋でもつ煮なんかを食べながら一息つく。
天気は中々回復せず、穂先ちょいちょい見えるが周囲の山々が見えるまでには至らず。

まあ明日の朝晴れた穂先に立てれば良いかと、昼寝をしたりしながらダラダラ過ごす。
16時半も回ったぐらいで晩御飯を食べて、うとうとしていたが、ようやっと穂先が安定して見えるようになり、ガスも下がり始める。

やっぱり今日行っておこうと靴を履き替え、穂先を目指す。
三点確保が必要だったり鎖や垂直ハシゴがあったりもするが、岩場で練習したことがあれば特段問題にならないレベル。
ゆっくり休んで大分回復したがやっぱり息切れはするなぁと思いつつ、15分くらいで山頂へ。
自分の他に人は1人だけ。

そして展望は斜陽に照らされながら、やうやうガスの中から姿を現す北アの山並み。
特に双六方面に伸びる稜線は滝雲がかかりえも言えない感じ。

360度に広がる絶景の前にただただ語彙力は低下し、すげぇという言葉しか出てこない。憧れの北鎌はやっぱり格好いいけど、最後どこから上がってくるんだろうという感じだ。

もう一方となんでみんな登ってこないだろうねなんていいながら、ハイシーズンでは滅多にないであろう静かな山頂で絶景を満喫する。

だんだん雲海に太陽が近づくの対して見える山はだんだん増えていく。
穂高は全て見えるようになり、常念・大天井はようやくガスが取れて、そこに槍ヶ岳のトンガリ影が伸びる。
そして最後の一滴になるまで夕陽を見届けてからもマジックアワーは続き、穂高方面の雲がえも言えない色に染まる。
本当にいつまでもここにいたい気分だが、一番星が輝き出したくらいで切り上げる。
最終的には8人くらいだった。

ヘッテンなくてもギリ降りられるくらいの明るさの中、テントに戻る。
そんなこんなで初槍を満喫して、明日の朝の絶景を夢見て沈。

25日 最高の朝から上高地下山
2時45分くらいに起きて静かにカップラーメンを啜って腹ごしらえ。
そそくさと荷物をまとめて、3時40分くらいに出発。

山頂に着くまであんまり信じられなかったけどまさかの一番乗り。
雲海は広がっているが、昨夕ほど高くはなく、妙高火打なんかも見えている。

昨日は見えなかった南アや八ヶ岳、その向こうに富士山、反対側には白山も見えている。昨日とは全く違った表情の絶景で素晴らしい。

日が昇り始めると穂高が取り分けて赤く染まり、昨日とは逆方向の笠方面に槍の影が伸びている。
夕焼けに比べるとマジックアワーは短い気もするが、今日は全ての山が見えているのがまた最高だ。
1時間ほど景色を堪能して、小屋に戻って荷物を回収して下山開始。

 

殺生ヒュッテ経由の予定だったが、東鎌尾根の様子を見てみたいのと、結構雪渓べっとりでアイゼン履くのも面倒だったので、槍ヶ岳ヒュッテ経由で下り始める。
途中振り返ると、青空に槍が鋭く聳えてこれまたかっこいい感じ。

ここでなにより驚いたのが、槍ヶ岳ヒュッテから槍沢沿いの登山道に下ろす道中にサルの群れがいたことだ。
前に野口五郎の先で1匹くらいでいるのを見たことがあるが、今回はかなり大きな群れだった。落石なんかも起こしててちょっと怖い。

そんなこんなで槍沢沿いに出て、振り返ってカールの奥に聳える槍を見送ったあとはひたすら下ろしていく。
一人だと長く飽き飽きする下りだが、朝、槍の山頂にいた方がご一緒していただき、いろいろな山の話をしながら歩くことができて、楽しかったかつ退屈せずに済んで助かりました。
そういえば、我が会の北穂好きのお館様は今日入山で2時間前に横尾を通過していたいらしい。ニアミス残念。

すっかり観光地とはいえハイシーズンほどの賑わいではない上高地に辿り着いて、ご一緒してくれた方に別れを告げる。またどこかで。

バスで平湯に戻り汗を流す。毎度思うが、平湯の森のお風呂、疲れた足裏には全く優しくない。
なんか夏山のような曇り方で笠が見えなくなる中、普段は人の多さで敬遠している山域もハイシーズンのちょっと前なら、またチャレンジしてもいいなぁと思いつつ帰路についた。
そういえば、帰路で宝塚記念の3連単も的中しそれも含めて大満足でしたとさ。

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