冬期アルパイン@谷川岳東尾根

冬期アルパイン@谷川岳東尾根
日時:2019年3月8日(金)夜発~9日(土)
メンバー:Sモア K川 I村 他2

05:15谷川ベースプラザ-06:48一ノ倉沢出会07:12-09:11シンセンのコル9:50-10:40第二岩峰上-12:20第一岩峰12:40-13:25谷川岳14:00-14:25肩の小屋14:27-16:19西黒尾根登山口-16:27谷川ベースプラザ

ルート概要

・雪崩について
前日、前々日の降雪もあったため、雪崩ネットワークの予報や谷川岳警備隊の方からの情報、ピットテストを参考に雪崩は大丈夫だろうと判断した
ルート上ではないものの、近くの斜面では、気温が上がる昼前くらいから小規模な雪崩が発生していた

・第2岩峰
今回は多くのパーティが待っていたため、右手(一ノ倉谷側)から巻いた。
取り付きの一段下を基部に沿って40mトラバースし、50m直上する。
トラバース部分は急でステップが決まりづらいので、ダブルアックスで斜面に正体してのトラバースとなった。

・ナイフリッジ
第二岩峰から急斜を登ってから雪庇を伴うナイフリッジが続く。
雪庇の張り出し具合を見ながら一ノ倉谷側をトラバースしていく。
特に斜面の急なところは正体でのトラバース。あとで振り返ると少し雪庇に寄りすぎかというところもあった。

・第1岩峰
こちらも右手から巻いた。基部に沿ってのトラバースからの直上。全部で50mくらいで一ヶ所だけ窮屈で緊張する箇所があった。

・ピーク直下
草付きルンゼを15mほど直上する。
立っているがダブルアックスがしっかり決まる。
稜線にでる雪庇の切れ目が垂直に近く少し緊張する。

・ザイル
今回は使用しなかったが、上記の箇所についてはメンバー、ルート状況次第で十分に出すことはありある。
岩峰を直登しているパーティはザイルを使用していた。

今年の冬は谷川第2段ということで、今期のアルパインの目標の一つと定めていた谷川岳東尾根へ。
今回は久々とI村閣下にK野きゅん、先週に引き続き東京からT橋さんを加えての5人で挑む。

きっちり時間で交代しながら名神、中央道、上信越道、関越道を走り抜け、水上駅でステビバしていたT橋さんをピックアップして、土合ベースプラザへ。

天気は申し分ないのだが、前日、前々日と降雪があったため、雪崩ネットワークの情報を見てから出ようと思っていたが、前日より発表が遅く、言うている間に準備が整ってしまう。

指導所に詰めている山岳警備隊の方への聞き取り、6時くらいに発表されるであろう雪崩ネットワークの情報、一ノ倉谷でピットテストを行い、雪崩について判断をすることにして出発する。

ツルツルの道を登って登山指導所へ。
詰所の方に話を聞いくと とのこと。
小一時間ほど林道を歩き、尾根を回り込むと朝日に照らされ輝く谷川岳東面を望むことができる。
青空に聳える岩壁で数多の岳人たちが凌を削っていたと思うと胸が熱くなる。

一ノ倉沢出合では、先着しているパーティが登はん具を着けたりと準備をしている。
我々も適当に準備をして一ノ倉谷へ入っていく。

一ノ谷出合手前の斜度がきつくなり始める辺りでトレースを外れてピットテストを行う。
35cmくらいの柔らかい層の下に濡れた層があり、この辺りが昨日、一昨日で積もった雪だろう。
シャベルコンプレッションテストをしてみると柔らかいものの案外締まっていることが確認できた。

一定、雪崩のリスクは低いと判断し、シンセンのコルを目指す。
途中、小さい微沢から小規模な雪崩が流れこむこともあり、休憩もせずに一気に600m近い標高差を駆け上がる。

シンセンのコルに出ると一気に視界が開け、尾瀬や日光、草津の山々を遠望できる。
振り返ると巻機山、朝日岳、白毛門と真っ白な稜線が続いている。
景色を堪能しながら大休止して酷使した足を休める。日差しも暖かく気持ちがよい。

さて、目指す方向を見ると目の前に迫った第二岩峰の手前に行列が。さすが人気ルート。
岩峰手前に10m弱の立った箇所があり、ブッシュを頼りによじ登ると3,4パーティが待っており、時間がかなりかかりそう。
ということで巻きルートを行くことにする。

取り付きから一段降りたところから岩峰の基部に沿ってのトラバースしていく。
なかなかの斜度なので斜面に正体してダブルアックスを効かせながらトラバースしていく。
ちょいちょいブッシュも生えていて雪崩れる感じはしないが、微妙にステップが決まりづらく緊張する。
40mほどトラバースして、稜線を目指して直上する。
直上部分も稜線に乗る手前はなかなか急だった。

稜線に復帰すると先行パーティはおらず、一気にトップに出る。
第二岩峰から先は急斜が続く。ラッセルがあり少ししんどいがファーストトレースをつける楽しみに比べたらなんてことはない。
閣下がかなりラッセルをして高度を稼いでくれる。

斜度の変わり目が段差っぽくなっているので一休みして、ズボズボ嵌まる段差を気合いで越える。
どうやらちょっとクラックが走っていたようだ。

そこから少し登るとさながらサメの歯のように、鋭い雪庇を備えたナイフリッジが続いている。
感情と緊張、二重の意味でテンションが上がる。

うっすら残るトレースと雪庇の出具合を見ながらトラバースしていく。
もちろん斜面は急なので、正体でのトラバースで抜けていく。
特に最後の雪庇はサイズも去ることながら、斜面も今までで一番急で、吹きだまりも大きい。遠くで雪崩の音を聞きながら、ひりつくような緊張感を味わえた。
振り返ると東尾根といえばこれっ!という雪庇をトラバースする風景だ。

ナイフリッジが終わると第一岩峰にぶち当たり、尾根も広くなって一息つける。
何やらヘリが飛んできて衝立岩のあたりでホバリングしているが、何だったのだろうか。
西黒尾根のほうに目をやるとシュプールがついていて、あんなとこ滑るんか~といった感じだ。

休憩していると後続パーティも続々と登ってきて、第一岩峰下で団子となっている。みんな直登ルートで行くのだろうか。

我々は第一岩峰も右手から巻くことにする。
第二岩峰と同様、基部に沿ってのトラバースからの直上。
一ヶ所だけ窮屈になるところが緊張するが、難易度は第二岩峰よりもやや下がるか。

尾根に復帰してからは、ピーク直下目掛けて急斜を登る。
なんてことのない急斜だが、雪がグサグサでトップのラッセルはもちろん、後続もステップが崩れてなかなかに苦労しながら登り抜けて、ピーク直下のテラス状へ。

最後は主稜線に張り出す雪庇ののっこしだが、今年は少雪のためか、切れ目があるのでそこから抜けれそう。
そこを目掛けての少し左手から回り込むと草付きのルンゼがある。
立っているがダブルアックスがガチ効きするので、登るのに苦労はしない。
雪庇はないものの、稜線にでるところはほぼ垂直なので、バイルとアイゼンをしっかり効かしてピークに飛び出す。

目の前に谷川連峰の白い山々がバーンっと広がり爽快。
奥には苗場山もよく見えている。
登り詰めたオキの耳にもトマの耳にも人がいっぱいいて、天神平からも続々と登ってくる。
緊張感からの解放もあってか、急に別世界にきたかのようだ。

後続も登ってきて喜びのハイタッチ!登ってきた方を振り返ると、眼下にバッチリトレースを着けた東尾根、その向こうには朝日~巻機山の稜線や越後三山、尾瀬、武尊、日光、草津と上越から北関東の山々が広がる。
先週登った大源太山も鋭い頂をちょこんと出している。
快晴で本当に最高だ。

後続パーティも続々と登ってきて労いの言葉を交わす。
ひとしきり天気を堪能し、写真を撮って下山開始。
白い稜線を眺めながらののんびり歩くのも本当に気持ちがいい。
万太郎や平標のほうも縦走してみたいものだ。

トマの耳くらいまでくると東尾根が見え、こちらからだと雪庇の大きさなどがよく分かる。肩の小屋で一息ついて、K野きゅんが買ってきてくれた北海道土産のきのとやチーズタルトに舌鼓を打つ。
最近人気の商品だが、食べたことがなかったのでよかった。

当初は天神尾根を下ろそうと思っていたが、せっかく西黒尾根を下ろすことにする。
時折急なところもあり、雪質によってはバックステップになりそうだが、今回は雪質も適度でザクザク一気に下ろしていける。
雪庇も発達していて、20mくらいのものが崩れ始めているところとあった。

振り返ると谷川東面をバッチリ望むことができ東尾根を一望できて感慨深い。
あとは暮れなずむ山々を望みながら高度を落としていく。
樹林内も雪庇は大きい。最後はシリセードを交えながらベースプラザまで。

荷物を適当に車に詰め込んで湯テルメで汗を流したあとは、水上駅前のお店に閉店間際に駆け込んでおっきりこみうどんで体を暖める。たっぷりの野菜と出汁が身に染みる。

その後、サンモールでワイワイ買い出しして道の駅で宴会!
ザクロ谷にいくわなんやで今回も大盛り上がり。海馬の死なない適度な酒量で幸せな宴会だった。

翌朝はT橋さんを駅まで送り届け、関東山地や北アルプス、中央アルプス、南アルプスなどの山々を眺めながら高速道路を走り抜け、山岳会の人が出展している写真展→宴会に雪崩れ込み充実の週末となった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です