縦走@頸城・火打山から焼山
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【行程1日目】行動時間 8時間00分 天気 晴れのち曇り 時々ガス
笹ヶ峰8:20?9:00黒沢9:15?11:00高谷池11:15?12:40火打山13:10?15:50焼山16:00?16:20焼山西北西250m標高2,300地点
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笹ヶ峰から高谷池へ
窓を開けて乗る列車は昔よく山旅に向うとき当たり前のように経験した。
今回は久し振りの体験だがやはり気持ちよいものだ。
朝の笹ヶ峰へは信越本線の普通列車からバスを乗り継ぐ。
駅では雨だったが笹ヶ峰に着くと日差しがあり清々しい。
何組も登山者があり、さすが人気の山だ。
黒沢で休憩するがその間にも多くの登山者と行き交う。
あまり単独行の人はいない。
雲が多く、時々陽が差すが風がなく蒸し暑い樹林の中を歩く。
2時間40分で高谷池ヒュッテへ。
初めて泊まったのはもう24年も前だがあまり変っていない様子。
高谷池は今回で5回目の訪問だ。
生憎ガスで周りの山は見えないのが残念。
ヒュッテ前でしばらく休憩。
高谷池から火打山へ
池の周辺はワタスゲの白が点々として美しい。
天狗の庭への低い乗越にさしかかる。
ハクサンコザクラの群落が綺麗で写真を撮っている人が多い。
中学生くらいの集団登山の団体が続々と下りてくる。
以降、火打山山頂まで大勢の登山者で大賑わい。
雷鳥平への尾根に乗ってからはガスが掛かり、風が強くなり涼しくなった。
ガスの中、狭い道でのすれ違いに時間がかかる。
山頂は30人くらいいるだろうか?残念ながら景色無し。
火打山から焼山へ
山頂で30分過ごしたが結局ガスはとれない。
焼山への下りにかかる。ハイマツの間のよく踏まれた道を快調に下る。
高山植物の咲く明るい草原が気持ちよい。ガスは南から吹き上がってくる。
30分も下るとガスがとぎれ、時々乙見湖方面が見える。
しかし高妻山など主要な山の山頂部はガスで見えない。
谷には結構雪渓が残っている。
影火打を越えて、長い下りの途中で一瞬焼山が顔を出した。
胴抜切戸は少し切り立っているが道はしっかりしている。
焼山への登りになり、緩く広いコブを抜けると心地良い草原に出た。
このころからガスが濃くなり、何も見えない。
霧粒で水分たっぷりの草や枝の掻き分けで衣服はびっしょり濡れている。
草原から上りになると、焼山から下りてくる2人の女性に出会う。
聞くと、焼山の登りが長いので諦めて先ほどの草原まで戻って泊まるとのこと。
ひとりは雪渓の水を求めて南側の沢に行っているとのこと。
草原は晴れていればきっと快適な場所だろうと思われる。
さて、登りは次第に急になり、汗が出て苦しい。
標高差で350mほどだろうか?
ひたすら急登に耐えていると直ぐ右側から水の音が聞こえてくる。
結構水量がある音だ。
藪を掻き分け1分で流れに出た。
今日は富士見峠までの予定だが、思わず水が手に入った。
泊まり分3.5Lを汲むことにする。
焼山の西に平坦で凹地状の個所があることを2年前の山行で知っているので、
状況次第ではそこに泊まろう。
さらに登ると、先ほどの流れの正体が分った。
大きな雪渓が残っていてそこからたっぷり流れ出していた。
登山道はこの沢を左岸に渡りその先の尾根を上がっている。
尾根はだんだん火山らしく木がなくなり、ザラ場に僅かな草しか生えていない。
ガスが濃く、周りの地形は見えないが凸凹の岩塊がガスに時々浮かぶ。
雷鳥が2羽、ずっと登山道を上に辿っていて、なんだかこちらが煽っている状態がしばらく続く。
その2羽が右に道をそれたら、そこが山頂の縁だった。
山頂は三角点がポツンとあり、少し先に標識がある。
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焼山からテント地を求めて
景色もないのでそこそこに休憩を切り上げ、ここからは2年前辿った道だ。
フィックスロープのある岩場を急下降して火口湖の縁から西に下りる。
そこも小さな凹地状になっている。
予定の富士見峠はまだ遠いので止めだ。時刻も16時を過ぎている。
岩塊の転がった平坦地で、ここに泊まることにする。
周りのゴツゴツした岩肌が荒々しく、ガスが濃いので不気味な感じ。
風があるので、大きな岩を風上側にしてテントを張った。
ここから山頂まで15分足らずなので明日天気が良ければ焼山へ往復しよう。
19時半ころ就寝
夜中外を見ると一面星空、天の川がくっきり見える。
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【行程2日目】行動時間 5時間35分 天気 曇り
テント地5:00(⇔焼山往復)6:10?富士見峠分岐6:55?7:30?8:20大曲?9:20焼山登山道入口9:30?11:35笹倉温泉
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焼山から富士見峠への分岐点
朝は雲が多いながら遠くまで見渡せまずまずの天気。
ここに泊まった甲斐があった。
火口湖の縁に登るとちょうど御来光。岩場を越えて焼山山頂へ。
曇りがちの空で色が冴えないが頸城連山が良く見える。
火打山へは大きく落ち込んでいて、妙高山とあわせてより存在感がある。
山頂の先は、昨日にはガスで見えなかったが、黙々と噴煙があがっている。
少し近づいてみると、暖かく、地面に黄色の硫黄分が付着している。
生きた活火山を間近で見られる貴重な場所のように思う。
テントに戻って朝食を作る。
6時過ぎ、下山に向けて出発。
下りは遮るものがないザラ場をスリップに注意しながら下る。
正面に北アルプス、雨飾山、天狗原山、金山などが見えて爽快。
やがて潅木帯に入り、残雪が残っている個所を渡る。
複雑な地形を縫って、泊岩へ。
ここから僅かな下りで富士見峠分岐。
浅い沢の源頭状になった地形だ。
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富士見峠への分岐点から焼山登山道入口
道を探すのに大きく伸びた草を掻き分けながら進む。
捲って地面の凹凸を探らないといけないのでゆっくりとしか歩けない。
20分ほどして雪渓の上に出た。
ここで大勢の登山者に出会う。
よく見ると、釜や鋸などをみんな持っている。
聞くと、この日は大勢でルートの整備に来ているとのこと。
各所で数名に分かれて登山道の全区間を1日で刈り払いや修繕を行っておられた。
以降、各地で分担して修繕に当たられていた。
暑い中、少ない登山者のために精を出されており、本当に山好きでないと出来ない重労働で頭が下がる思いだ。
おかげで快適な下山が出来た。
ここからしばらくは陽が差してきて、樹林中ではあるが暑くなった。
このルートは全体的に緩やかだが、途中大きな切れ込みになった沢を3箇所渡る場所がある。
沢を渡る前後の斜面は雪に磨かれ、道も削り取られて、難所となっており、長いロープが前後に架けてある。足元の地面が崩れ落ち、足がかりが極端に少ない。
ここにステップを作っておられ、危険な場所での作業はさぞ大変だろう。
沢は決まって残雪で覆われている。
最後の雪渓を渡ると真っ直ぐ下降するようになり大曲着く。
ガスで何も見えなくなったが、ここから焼山が望めるらしい。
下るにしたがい、だんだんガスが濃くなってくる。
だらだらと長く緩い道に飽きるころ、やっと登山口へ。
今日道の整備にこられている方の車の列が道脇に続いている。
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焼山登山道入口から笹倉温泉
林道に伸びた草木の整備もされていた。
濃いガスの中、林道を下る。
2時間余り掛かり笹倉温泉へ。
長い林道歩きに足が痛くなってもう十分だ。
ガスは温泉に着く直前まで掛かっており、麓の方が濃い。
気温も何故か低く、高いところにいる時と下山後との体感温度が変らないのはどうしたことだろう?
空いている笹倉温泉は3つも浴場があるとのことで、お勧めの大きな風呂で汗を流した。
他もうひとつにも入り、ゆったりくつろげた。
12時50分定刻のバスに乗り糸魚川駅へ向ったが、下に行くほど雨で、今日は町に近づくほど天気が悪く、いつもの常識とは逆になった。
帰路、北陸本線の車窓からは建設中の新幹線が見えている。
数年もすればまた山に向う交通体系は大幅に変るのだろう。
また窓の開く列車の旅も山行の一部に入れたいものだ。