沢登り@韓国ソラクサン(雪岳山) コクベグン溯行~チェダンゴク下降~ テチョンボン(大青峰)~チョンフルドン(千仏洞)渓谷
山行名:沢登り@韓国 コクベグン溯行~チェダンゴク下降~ テチョンボン(大青峰)登頂 (ソラクサン 雪岳山)
日 時:2017年8月11日(金)~13日(日)
メンバー: K川 Sモア
行程
1日目
ペッタムサ入口-(徒歩)-シャトルバス乗場-(バス)-ペッタムサ-(バス)-シャトルバス乗場-シャトルバス乗場近くのキャンプ場C1
2日目
0:00キャンプ場~01:30ペッタムサビジターセンター~03:20スリョムドン避難小屋03:30~04:00仮眠地点05:300~5:50白雲洞渓谷出合06:00~06:10テント設営地06:30~07:40コクベグン出合~09:20第三石畳帯先二股09:30~10:30西南稜10:40~11:40チェダンゴク下降地点~12:30チェダンゴク源頭部12:40~13:50 20mの滝14:00~15:00コクベグン出合~15:30テント設営地C2
3日目
テント設営地06:00~08:00ホンジョンアム寺院08:10~08:50分岐09:00~09:20テチョンボンピーク09:30~10:00分岐~11:30フイウンガ山荘11:40~12:40ヤンポク山荘~14:30ヒソンデ~15:10シスサ寺院~15:30ソラクドンバス停
アクセスや周辺情報
ソクチョの市内バス乗り場からバスでペッタムサ(百澤寺)入口へ (3500ウォン 30分)
ペッタムサ入口から徒歩20分ほどでペッタムサシャトルバス乗場へ
シャトルバスは片道1300ウォン15分程度
シャトルバス乗場からペッタムサまでは林道7km 徒歩だと1時間半
下山はソラクサンビジターセンターからバスでソクチョの高速バスセンターまで。2600ウォン程度で30分で着く
韓国の国立公園の地図について
ビジターセンターで手に入るものは概念図でポイント毎の距離とコースタイムのみで地形は確認はできない
ソラクサン(雪岳山)国立公園は入口にそれぞれ入山リミットあり
ペッタムサについては4~10月は15時が入山リミット
降雨によっては通行止もある
参考にした記録には地形図はソウルの地図センターで手に入るということだが、今回は諸事情でソクチョに直行したた確認できず。
スマホで確認できるもので細かい地形まで確認できるのはNaver Mapだがハングル表記のみ
西南稜の稜線ではWi-Fiが通じて、チェダンゴクの下降点を確認できた
ソクチョの高速バス乗り場のコインロッカーに荷物は預けられる(1回1000ウォン 500ウォン硬貨2枚で先払)
ソクチョやソラクドンには温泉施設あり
ガス缶はインチョンからソクチョにバスで向かう最中に寄ったサービスエリアでたまたま手に入った。
確認はしていないが、ソウルやソクチョ市内の登山用品店でも手に入ると思われる
記録・感想
今年のお盆はどこへ行こうといろいろ考えた結果、癒しの渓を求めてボンヤリとイメージのあった韓国の沢へ行ってみようということになった。
韓国の沢登りについてはチラチラと耳にはしていたが、いざ情報を探してみると思いの外少ない。
最終的に6月に懇親会に出させていた海外溯行同人が発行している韓国での溯行記録を取り寄せて具体的な計画を詰めていった。
場所はソウルから北東方面、北朝鮮の国境もそこそこ近いソラクサン(雪岳山)の至極のナメがあるというクギョムダム(九曲潭)渓谷の支流、白雲洞渓谷のクングイッテキ、コクベグン、チェダンゴクを溯下降する計画を立て、あわよくばソウル近くのプッカンサン(北漢山)の岩稜をやんちゃってアルパインも盛り込んで、韓国6日間の旅程を計画して、出発した。
10日 トラブルに見舞われつつもソクチョ(草束)へ
久々の関空からインチョンへ。フライトは二時間弱で北海道に行くのとあまり変わらない。
入国審査を済ませ、いざソウル行きのバスへ乗ろうとした時、samoaの財布紛失が発覚。
結局、航空機の中に忘れており無事に回収することができたが山にも行かず敗退するところだった。
そんなこんなで時間を浪費してしまったため、ソウルには寄らず、インチョンからソクチョへ直接向かうこととする。バス代は7000ウォンで3時間弱くらい。
たまたま休憩で寄ったサービスエリアがちょっとしたハイキングの拠点だったようで、ガス缶を購入することができた。
そんなこんなでソクチョへ。とりあえず、市内バスターミナルからタクシーで宿に向かう。海の近い綺麗な宿だ。
とりあえず、一息ついてから市街に繰り出す。
明日のために荷物をデポする高速バスターミナルにコインロッカーがあるのを確認。
近くの大型スーパーに食料等の買い出しに。
いろんな売物が見れてなかなか楽しかった。
そのあとはソクチョで目的としていたさしみタウンへ。
生け簀にさまざまな魚が入れられており、1人15000ウォンくらいで刺身の盛り合わせと海鮮チゲが堪能できる。
こんもりとヒラメとツバス、ホヤのお造りが出て来て、アラの入った海鮮チゲももりもり食べて大満足。
しかし、明日の天気は雨マーク。とりあえず、朝様子見よう。
11日 雨につき入山延期
朝起きると予報通りガッツリ雨が降っているので、二度寝。
適当に起きて荷物を片してチェックアウトギリギリで外に出る。曇りだが存外悪くなさそうなので、とりあえず登山口までいってみることにする。
高速バスセンターのコインロッカーにいらない荷物を預け、市内バスセンターに行き、ペッタムサ(百潭寺)入口行きを購入3500ウォン。
バスに30分ほど揺られてペッタムサ入口へ。そこから長閑な畑の中を歩いていくと、20分ほどでシャトルバス乗り場へ。
ちょうどシャトルバスが来ていたので切符を購入(1300ウォン)してペッタムサ寺院まで。観光スポットできらびやかな色彩をした寺院。
寺を見学して登山口に行くも降ったりやんだりだった雨が強くなってきたので、今日はシャトルバス乗り場の先にあったキャンプ場で泊まり、明日、超早出して遡行を目指すことにする。
というわけで、再度シャトルバスに揺られて戻り、50000ウォン払ってキャンプ場に泊って、クングイッテキはカットしてコクベグン遡行、チェダンゴク下降を目指すことにする。
韓国はキャンプ文化が盛んなのか多くに人で賑わっていた。適当にレトルトカレーをかき込んで沈。
12日 噂通りの秀渓 ナメナメ天国
23時半に起床し、日付が変わるくらいにキャンプ場を出発。
今日はソクチョは曇り予報だが、まだ霧雨がちらついている。そう悪くならないことを信じて、暗い中、昨日シャトルバスで走った林道を歩いて行く。
1時間半ほどで登山口へ。登山口から先もよく整備された道で暗くてもなんら支障はない。
スリョムドン(水簾洞)山荘を過ぎて、クギョムダム渓谷沿いに出る。渓谷沿いの歩道はゴムの滑り止めまでついて歩くのは超快適。
適当なところで明るくなるまで仮眠をとる。
明るくなってから、20分ほど歩くと大きな白雲洞渓谷の出合つく。すでに登山道沿いの沢がナメナメしてきていて期待が高まる。
少し先に進むと立派な橋が出てくるので分かりやすい。
ここで沢足袋に履き替え、入渓。少し進んだところにおあつらえ向きのところがあったのでテントを設営していらないものをデポしていく。
テントから少し進むとさっそくナメ滝が出てくる。左岸を微妙なへつり上がりで突破。
右岸から巻くこともできる。
一瞬だけゴーロ帯を挟んで出てくる大きなナメ滝を皮切りに川幅一杯のナメが現れテンシヨンが上がる。
第一石畳帯だ。自然に笑みがこぼれる。
コクベグン出合は両股ともナメ滝となって合流してスケールもあり見ごたえもある。出合から先もナメが続き素晴らしい。
花崗岩にエメラルドグリーンの水が流れる感じは鈴鹿に似てるかもしれない。
そんなこんなで第一石畳帯が終わるとまた少しゴーロとなるが、面倒なところはだいたい左岸の巻き道を使って抜けることができる。
道の途中には碑のようなものもあった。
奥に聳える岩塔を正面に見ながら少し進むと、堰堤のように直下たつ岩壁に大きな滝が流れ落ちる。白雲瀑布だ。
迫力もそこそこありながら美しい滝。しばし眺めながら休憩する。
巻きは右岸から。側壁にフィックスロープが結びつけてあり、それを頼りに滝上へ。
フィックスなかったらなかなか難しい気がする…
滝上からは再びナメが連続する。第二石畳帯だ。
ここは斜度もあって、ナメ滝が連瀑となって数百メートル流れ落ちてとても美しさと迫力を兼ね備えている。
斜度の強いナメ滝はブッシュを掴んだりしながらスリップに気を付ける。
それ以外は特に危険はなく、右に左に思い思いに歩いていく。
どこまで続くのかと思っていたナメも沢の屈曲を過ぎると一段落。大したゴーロ帯も無く歩いていくと、二股が現れる。進むは右股。
そして右股を進んでいくと三度ナメ帯に突入する。これが第三石畳帯。
長さはこれまでに劣るものの川幅一杯に緩やかなナメが続き癒される。
第三石畳帯の途中で左から沢が入ってくるのでこれを詰めて稜線を目指していく。
黄色や赤のテープもある。
ここからは単調な沢を詰めて、最後は藪の中のよく刈り込まれた踏跡を辿っていく。
この間もテープやケルンがちょいちょいある。蒸し暑さが続く中踏跡を辿っていき、稜線の登山道へ。
登山道へ出る直前で、コクベグンに降りていくのだろうか、4人パーティともすれ違った。
稜線の登山道は沢沿いの道同様、階段などがよく整備されている。
日本でも見るレイジンソウやフシグロセンノウや途中可愛らしいシマリスと出会うこと出来た。
東に進んでいき3つめくらいのポコを右から巻いた先で登山道が稜線に復帰するところがチェダンゴクへの下降点。
トポや記録の記述だけでは不安だったが、幸いwifiが通じたためNaverMapで現在地が確認できた。
下降点から真北にコンパスを切って藪に突っ込んでいく。
蔦が絡まってきて結構面倒な藪だったが、1時間弱で抜けてチェダンゴクの源頭へ出て一休み。遠くには岩塔群も見えていい眺めで、ここでちょっと一息。
源頭から斜度のある一枚岩で、滑りそうなところを避けるとガレていて落石には要注意だ。
慎重に斜度が緩くなるところまで下ろしていくと一枚岩は当然ナメとなって水をたたえ始める。
ナメをのんびり下ろしていくと、どこからか水が流れ込んで水量が増えていく。
コクベグンほどの規模ではないか、小気味よく小滝が続き、それをスタスタ歩いて降りていく。
振り返ればナメ滝群でいい感じだ。
1個だけクライムダウンが微妙な4mほど滝があり、岩を支点にtentyoは懸垂し、samoaは空身で右岸をクライムダウン。まぁ、降りてみたら大したことなかったかも。
そこから少し進むと20mの滝にぶち当たる。白雲瀑布のような堰堤な岩壁の右に水が流れ込む感じ。
この滝は右岸の木を支点に20mの懸垂下降。久々の長い懸垂だが下降自体はまっすぐで素直。
20mの滝を越えて進むと白雲洞渓谷の本流と合流。ここからは再び第一石畳帯の上部から下ろしていくことになる。
やはりスケールが大きくて素晴らしい。思い思いに歩いてナメを堪能する。
やがてコクベグンも合流してくる。両股ともに大きなナメ滝で合流してくるのはやはり見事としか言いようがない。
あとは、朝登ったところを下ろすのみ。行きに左岸から微妙なへつりで越えたナメ滝の手前までナメを堪能してナメ滝は右岸の巻道でサクッと降りる。
あとはゴーロをこなしてテント場まで。
さすがに0時から仮眠を挟んで歩き通しなのでテン場に着く頃にはヘロヘロになった。
服もさして濡れていないので焚火をするきも起きず。飯を作ることにする。
今晩はトッポギ麺とレトルトカレーの2ピッチ。
ご飯を食べているとどこからかシマリスくんたちが2・3匹よってきてご飯のカスなどを狙ってくる。
中にはハチ避けに空き缶にそそいでおいたマッコリまでナメだす始末だ。
そういえば、上から6人位のパーティも降りてきた。コクベグンを降りてきたのだろうか。
ご飯も食べてお腹いっぱいし、たっぷりのお茶を飲んだら早々に眠くなってきたのでそそくさとテントに潜り込んで眠りに落ちた。
13日 テチョンボン(大青峰)を越えてチョンフルドン(千仏洞)渓谷を堪能
朝は4時起床のつもりがねつぼって4時半。そそくさとインスタントラーメンをかき込んで、適当にテントを撤収する。
一瞬だけ沢足袋を履いて沢をちょっろ降ろしてクギョクダム渓谷沿いの登山道に復帰して歩いて行く。
やはり整備の行き届いた登山道で歩きやすい。ふと渓谷に目をやると。ナメ滝や美しい滝を見ることが出来る。サンリョン瀑布などの大きな滝もちょいちょい出てきて飽きることはない。
時折見上げることの出来る岩塔もすごい迫力。沢底からてっぺんまで岩壁のところもある。
それにしてもまだ6時過ぎだと言うのに上から続々と人が降りてくる。
昨日上の山荘に泊まっていた人たちだろうか。長い階段で渋滞になっているところもあった。
沢沿いの登山道を過ぎると岩峰を縫うように急な上りが始まる。きつい上りを1時間くらいこなすとホンジョムア寺院へ。
山中なのに大きくて立派な寺院だ。晴れていれば後ろに迫力の岩塔も見えるのだろう。ちょっとだけ極彩色の寺を見て先へ進む。
寺院からも登りが続くが、ガイドマップで見るコースタイムや距離感よりかは大分早く小青山荘に到着。このあたりから亜高山のような植生となってきてフウロソウやソバナなんかを見ることが出来る。
少し進んでチュウチョンボン(中青峰)手前の分岐。ここからテチョンボンまではピストンなので荷物をデポしてテチョンボンアタックへ。
立派な歩道が整備されたチュウチョンボンを快適に越えるとチュウチョンボン山荘。小青山荘に負けず劣らず立派な小屋だ。
山荘の先はハイマツ帯。この高度でのハイマツ帯は久しぶり。よく見ると新芽にカバーが掛けられていて保護されている。齧る動物がいるのだろうか。シマリス?
ハクサンイチゲやイワギキョウの仲間を見ることが出来た。
ちょこっと登ると韓国第3位のテチョンボンのピークへ。石碑と三角点のみのシンプルなピークだ。
ガスガスで何も見えないのが残念。晴れていれば海や北朝鮮まで見渡せることだろう。写真をとって引き返し。
分岐まで戻って荷物を回収して下ろしていく。ここからフイウンガ山荘までは激下り。昨日から長い距離を歩いている足にはなかなか応える。
ひぃひぃ言いながら高度を一気に下ろしてい。
やはり立派なフイウンガ山荘で一休みして少し進むとクニョンヌンソン(恐竜稜線)と呼ばれる岩塔のリッジを望むことが展望台へ。
花崗岩のかっこいいリッジがギバギバと聳え素晴らしい。これ全部尾根通しに行けるのだろうか。そんなことを考えながら先へ。
まだまだ激下りは続き、ようやく終わったと思ったらさっき眺めていた岩塔群の下へ。
ここから一気にスラブの岩壁がそびえ立っていてすごい迫力だ。
ほどなく登山道はチョンフルドン(千仏洞)渓谷に吸い込まれていく。
最初は反対側と同じくナメ滝がちょいちょい出てくる感じだったが、更に進んでいくと、両岸がスラブとなって切り立ち、みごとなゴルジュとなり、滝が懸かる。
渓相も見事だが、ここに足場が整備されて登山道として歩けるのがすごいなと思う。
トイ状のゴルジュも見事だし、進んでも進んでも鋭い岩塔群が沢中から一気にそそり立ち、まるで山水画の世界に入りこんだようだ。
これはさすがに日本では見られない景観だと感動しなが歩いて行く。
この岩塔群が千の仏に見えるのだろう。
大きな岩塔を後ろに備えたヤンポク山荘を過ぎるてからもなお素晴らしい景観は続き見飽きることはない。
そんなこんなで歩き続け川幅も大きくなってきたなと思うと国立公園のゲートが出て来る。
さらにその先には一際目立つ岩峰が。ピゾンテへたどり着いたようだ。
ここから先は大きく河原が開け、道も遊歩道のように整備された道となる。
小一時間ほどあるくとゴール地点の寺院へ。ここはもはや観光地でロッテリアや飯屋が立ち並びすごい人だ。
ここからロープウェイも出ていて集仙峰へ行くことも出来る
適当に飲み物を買って喉を潤しながら、歩いて寺院の門のところで下山写真。お疲れ様。
ほどなくソクチョ市街行きのバスがやってくる2500ウォン程度で市街まで行ける。
無事に高速バス乗り場で途中下車し、デポしていた荷物を回収。
ソウル行きのバスに乗り込んだが、高速が大渋滞し、ソウル宿にたどり着く頃には11時近くになっていた。
疲労感はマックスだが、噂以上の美しいナメを備えた秀渓と素晴らしい景観の山々を楽しむことが出来て大満足の山行となった。