積雪期バリエーション@大山 弥山尾根西稜~夏道縦走
山行:積雪期バリエーション@大山 弥山尾根西稜~夏道縦走
日程:2024.2.3-2.4
メンバー:T橋、I井、T柳、K川、S藤
今回は山岳会のメンバーと大山北壁の弥山尾根と8号尾根+夏道縦走を目論む。
これまで冬2回、夏1回ともに晴れて比較的相性のいい大山。
しかしながら、気圧の谷の影響を受けなんとも微妙な天気予報。とりあえず現地に行ってみなければということで、とりあえず土曜日を勝負日と見込んで頑張ることに。
果たしてどうなることやら。
朝5時に奥大山道の駅に集合し町営第一駐車場へ。
さくっと準備して7時くらいに出発。下界方面は見えているが曇りで大山はまだ雲の中だ。
大山神社奥の宮への道から本格的に雪が出てくるが、前回・前々回と比較して明らかに雪が少ない。
本当に今年の少雪は困ったもんだと思いながらダラダラとトレースを辿り元谷避難小屋へ。ガスは上がってきたがまだ稜線はガスの中だ。
小屋に入ると学生の一団が撤収しているところだった。聞いてみるとあのヒグマ事故で名を聞くF大のワンゲル。九州から一番近い雪山となるとやはり大山になるようだ。
とても奇麗な九重の紅葉の写真を見せてもらい俄然九州欲が高まった。
そんなこんなで荷物をデポして登攀装備を付けていざ出発。
天気も回復してきて稜線もチラホラ見えるようになってくる中、トレースを辿り他パーティと抜きつ抜かれつで弥山尾根取り付きへ。
ひと息ついてよく確認もせずトレースを辿って白い斜面をトラバースしてしまうが、これは東稜への取付ルート。
休んだところからまっすぐ登った方が西稜だった。
無駄に緊張のトラバースをする羽目になりながら軌道修正。改めて西稜へ。
見た感じ急ではあるが、トレースがしっかりしており、灌木もたくさん出ているのでザイルは出さずに登ることにする。
時折、岩交じりなのか前爪しか掛からないところや灌木がなくなりホールドが乏しかったりすることもあるが確実に登れば問題なく登っていける。
1500mを越えると核心部はおわりといった感じ。ふと右手に目をやると別山バットレスが迫力を持って聳えている。
2パーティが登っているのを眺めながら、数年前に登ってなかなか怖ったのを思い出す。
気を取り直して空に向かって伸びている尾根を黙々と登っていく。
取り付いたころは青空だったが段々と雲が増えていく。海の近くの独立峰らしい目まぐるしい移り変わりだが、穏やかで視界があれば御の字だろう。
寒さを警戒して着込みすぎたのもあって汗ばみながら人が行き来する稜線へ飛び出したところが弥山山頂。
夏道方面はやはり人が多いが、少雪のせいかスキーヤーはあまりいない。
登ってきた元谷方面を見下ろすのもなかなか気持ちがいい。
そして剣ヶ峰方向は相も変わらず美しい稜線が伸びている。
ひと息ついて時間も天気も問題なさそうなので、このまま縦走路に入ることにする。
雪が少ないこともあり、雪庇の発達やリッジになっていることもなく尾根上のトレースを辿っていく感じで、前に来た時よりも遥かに難易度は低い。
とはいえところどころ細くちょっとしたアップダウンもあるので気は抜けない。
前回、激烈なナイフリッジになっていたラクダの背は岩稜が露出していむしろ尾根上は行けない感じ。
トレースは元谷側をトラバースしている。残置ロープを手掛かりに尾根上から落ちたらアウトの緊張のトラバースに入る。
案外スタンスはしっかりしていて、ピッケルを刺すよりも手をついたりすると安定はするが抜群の高度感。集中して突破する。
ほっとしたのも束の間。その先も細い尾根の微妙な下りとなっていて後ろ向きで慎重に降りたりして、剣ヶ峰まで行ってひと息つく。
向かう方からはガスも迫ってくるので続く天狗峰へ。
それにしても雪が少ないとはいえこの辺りは一段と白くて美しい稜線。
振り返った剣ヶ峰はより鋭く見え、天狗峰も白く美しいリッジラインを描く。
緊張感と幸福感が入り混じる感じだ。
天狗峰手前ですれ違ったパーティは山岳会ではないとのことだが、地元の猛者っぽい感じの人たち。
南壁の三ノ沢カールから取付、際どいルート状況の中三ノ峰に登りつてここまで来たそうな。
美しい三ノ沢カールの写真を見せていただく。確かに素敵カール。次回はそっちのほうにも行ってみたくなった。
さて天狗峰からの下りは急な上にステップが決まりづらく、なかなか緊張するので10mくらいバックステップ。
ふと右手に目をやると槍が峰と先ほど話に上がった三ノ峰へと、歩きたくなる白い尾根が伸びている。
バックステップを終えると尾根も広くなり緊張ルートも終わりといった感じだが、ガスに覆われてきて視界が悪くなる。
象の鼻手前の下降も分からないのでユートピア避難小屋へ。これまた立派な小屋。
ここを起点に周辺のピークを攻めるのも悪くなさそうだ。
小屋からトレースを辿りながらトラバース。ところどころ白い斜面を横切るので、1人ずつ通過したりすて上宝珠から尾根に乗ったところでガスが飛んで北壁や稜線が見える。さすがの迫力だ。
時折トレースを見失ったりしながら、中宝珠越まで。そこからは沢型を下ろしていく。
が、沢型にトレースはなくズボズボの激ダルラッセルとなる。時折腰までズボることもあり本当にダルい。
長時間行動で疲れた体に止めを刺された気分で、行き絶え絶えに元谷へたどり着いてひと踏ん張りして小屋に帰還。
疲れたながらも充実に一日だった。
小屋には朝下山していったはずの学生の内2人が個人山行として戻ってきている。
訳あって三鈷峰にまた行ったりするとのこと、自由でいいなぁ。
温かいものを飲んだりしてひと息ついて晩御飯。久々に食担でメニューは、ポトフ風鍋、トマト鍋への味変付き。最後はチーズリゾットで〆。量も適度で美味しくできたと思う。
東西の文化の違いなどをつまみにほどなく夜も更けていく中、突如鬼が小屋に登場。
日輪刀ではなく由緒正しく豆で追い払う。そうか節分だったね。
やることもやりつくして、明日どうするかの相談。天気予報は午前中は雪が残り午後から晴れの予報。
今日でやれることはやって満足感もあり、明日朝下山するのがQOL的によさそうだということでのんびり起きてのんびり下りることにする。
翌朝は一応6時に目覚ましをかけたものの結局7時起き。
朝御飯はI井さんによるお雑煮、ほっと落ち着く朝御飯だ。
だらだらと準備して10時前くらいに出発。朝はガスの中だった稜線がちらほら見え始めている。ちょっぴり後ろ髪とも違うものをひかれるような気持ちで元谷を後にする。
帰りは作業道をつかってあっという間に奥の宮へ。
安全に行けたこと対してお礼参して、途中お洒落な売店を冷やかしたりしながら駐車場まで。お疲れ様でした。
下山後の温泉は淀江ゆめ温泉 白鳳の里へ。なにやら使わなくなった物産館で温泉と湧き水を活用してフグを養殖しているらしい。お昼ごはんもついでに食べて外に出ると大山が青空の下輝いている。西側から見るとまさに伯耆富士だ。
朝一で登ってたとしても下山ばれだったと言い訳しながら、すぐに雲がかかり始めた気まぐれな山への再訪を描きながら帰路についた。
(T柳)