縦走@台高・白鬚岳から池木屋山
相当以前、高校生の時の夏と、10年程前の冬に白鬚岳に登っている。
その後、台高、大峰から幾度と無くこの白鬚岳を眺めてきた。
尖った山頂はどこから見ても良くわかる。
今回、この白鬚岳から台高主稜中央部の盟主、池小屋山へと縦走することにした。
【行程1日目】行動時間 8時間00分 天気 曇り時々晴れ 風強い 夜時々小雪
三之公橋7:00?7:45大鯛山への尾根取り付き点7:50?9:05大鯛山9:15?10:10白鬚岳10:30?11:10大鯛山11:20?高尾山11:45?12:25登尾12:40?13:15戸倉山13:20?13:40トベット(高塚)13:50?15:00 1,221m標高点南の平坦地(標高1,160m)
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三之公橋から大鯛山への取り付き点へ
今夏の台風の影響で北股林道がどうなっているのか分らない。
このため自転車を車に積んで行く。
三之公への分岐点にある三之公橋で通行止めとなっていた。
ここで支度し、自転車で北股林道を遡る。
勾配があるので半分くらいは歩く。
谷風が強く寒い。
大鯛山(旧大鯛峠みち)の取り付きは尾根末端を越えたところ。
ここまで林道は大きな被害は無さそうだが、車が入らないので少し荒れている。
対岸を見るとちょうどアサ股谷の出合となっている。
取り付きには赤テープが杉の木に巻き付けてある。
取り付きから大鯛山へ
最初はすごく急な植林の山腹だ。手も使い登る。
前方に尾根が見えているので早めに左方向に進み尾根に乗る。
取り付きから標高差100m弱。
尾根は緩くなり、単調な植林の中、高度を稼ぐ。
途中、二重山稜となっており、何れの尾根も植林。右の尾根を上がる。
植林は両側にしばらく続き、後半では左側にずっと続く。
半分以上登ってようやく右側が自然林になり、樹林越しに少し展望がある。
単調で面白味のない登りだ。
大鯛山から白鬚岳へ往復
大鯛山に出ると西風が強い。
ここで荷を置き、空身で白鬚岳へ往復する。
最初、緩い上り下りを繰り返し、やがて急で広い山腹状の尾根を登る。
北西側には大きくなった杉林があり、風を防いでいるので寒さはまし。
長細い山頂部の東端に出て、少し進んだ西端が三角点。樹氷が綺麗。
展望はまずまずだが、大峰や大台ヶ原は山頂部が雪雲に隠れている。
20分ほど展望を楽しみ、元来た道を大鯛山へ引き返す。
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大鯛山から登尾
西からの季節風が強く当たるようになり寒い。
北西は結構遠くまで展望が利き、和泉山脈あたりは良く晴れているようだ。
稜線は案外植林が多く、台高主稜と較べて自然度はいまひとつ。
緩いアップダウンを繰り返す。
高尾山手前で北股川流域がよく見渡せるところがあり、池木屋山が正面に見える。
雪は無さそうだが、周辺の稜線は樹氷で白くなっている。
高尾山からは少し下り、やがて広い場所へ辿り着く。
1,179m標高点周辺は広くて複雑な地形をしている。
自然林で覆われていたらいい感じの場所だろうと地形図から想像していた。
しかし、全くの植林中でなんとも味気なく、期待はずれ。
その後登りが続き、北股側は全て植林となった。
尾根上には鹿除け用かネットが張られており、目障りで興ざめ。
あまり特徴の無い登尾へは大鯛山から1時間余りで到着。
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登尾からトベット(高塚)
山頂からはこれから向う台高主稜の明神岳?赤倉山?池木屋山?弥次平峰が見渡せる。
特に明神岳、薊岳は樹氷で真っ白だ。中奥川流域もよく見えている。
ここから進行方向が変る。台高主稜へ東へと進む。
登尾からの下りは右が伐採跡、左が植林で全く殺風景。
広い鞍部に下り、向かいの戸倉山へ登るが、ここも左は伐採地。
北の展望が大きく広がるが伐採地なのであまり楽しくは無い。
戸倉山からは右手はブナなどの自然林が混じるようになった。
緩やかに60m下り同じくらい上り返してトベットへ。
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トベットから1,221m南の平坦地
トベット(高塚)からは幾分雰囲気の良くなった尾根を進む。
1,238m峰には右手に北股林道へ下るルートを示す赤テープがある。
赤テープとは逆に左に急下降する。
進むにつれ自然林が多くなり、台高主稜の雰囲気に似てきていい感じだ。
1,275m峰からは明るいブナ主体の尾根を歩く。
雲が多く、相変わらず北西の季節風が強く寒い。
今日は途中で泊まることも考え、行動用とは別に2.5Lの水を担いでいる。
次の小ピークを越えれば1,221m峰との鞍部だ。
実はこの山行を計画した時点で1,221m峰の南に広がる地点に目をつけていた。
稜線より50mほど低い平坦地で、植生やここからの展望に興味を持っていた。
そこは、地形図では広葉樹のマークが配してある場所だ。
さてこの場所が見渡せる鞍部に近づいて来た。
そこは稜線から眺めたところ、手前(西側)は草地、東側は広葉樹の林になっている。
鹿が群れている。
今日は終日、稜線で強い風に晒されたので、そこは別天地に見えた。
迷いなく、早速鞍部から鹿道を辿って降りてみる。
1,221m南の平坦地について
ブナなどの生える林は全くの平坦地だ。藪もない。
背後の稜線に守られ、草原にも全く季節風が当たらずテント地には最適だ。
今日はここに泊まろう。
草原は昔の伐採跡だろうか?
長い時間が経過しているようで、意外と草原と自然林がマッチしている。
草原の向こうに弥次平峰が対峙して風景が素晴らしい。
大台ケ原や大普賢岳も遠くに見えている。
草原と自然林との境界にテントを張る。
テントから正面の弥次平峰や大台ヶ原を眺めながらゆったりした時間を過ごした。
もう一度季節の良い時に来て過ごしたいところだ。
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夜は獣の歩く音が時々する。時おりカサカサと小雪がテントを滑る音も。
夜はずっと稜線を渡る強く大きな風の音が聞こえていたが、ここは風が当たらず安泰。
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【行程2日目】行動時間 5時間30分 天気 曇り 風強い
テント地7:30?赤倉山8:10?千里峰8:30?霧降山8:50?9:20池木屋山9:30?10:10千里峰10:15?11:15北股林道終点11:20?大鯛山への尾根取り付き点12:35?13:00三之公橋
テント地から赤倉山へ
朝は雲が低く垂れ込めているが、主稜の東の空は陽の明るみがある。
稜線に上り、風を受けながら赤倉山へ高度を稼ぐ。
山頂手前はかなり急な登りだ。木を掴みながらの登りとなった。
木々には樹氷が纏わり付いている。
赤倉山から千里峰へ
赤倉山に着くと、雪が10cmほど積もっている。
主稜線に積もった雪には踏み跡はない。
樹氷の間からこの前登った白倉山や迷岳方面が見渡せる。
三重県側の海側ほどよく晴れている。
一旦下り、ブナの尾根を千里峰へ。
樹氷のトンネルが続き、美しい。
千里峰から池木屋山へ往復
千里峰に荷を残置し、まずは向かいの奥ノ平峰へ
ここも東側の展望が良い。
続いて霧降山。山名が美しいが、東面が伐採地で興ざめ。その分眺めは良いが。
そこから幾らかアップダウンし、小屋池へ。
小さな溜まりは凍っている。
池の背後の広い尾根を登り詰めて池木屋山山頂へ。
白鬚岳から池木屋山まで行動時間6時間半で到着。
風が抜け寒い山頂は誰もいない。山頂の少し南西から遠く太平洋が見渡せる。
特に仙千代ヶ峰が太平洋の輝きを背に存在感があり格好良い。
この1月、大杉国見山からの下山中に見た光景に似ている。
山頂は寒いので10分そこそこで辞し、元来た尾根を辿って千里峰に帰り着く。
千里峰から北股林道終点へ
下降する尾根には赤や黄のコースサインが途切れずにある。
すぐに進行右側は杉の植林となり、左の自然林との境界を下る。
薄く積もった雪で滑りやすい。
標高1,200mあたりでやや左に進路を変える。
下方に向う尾根の張り出しが見えるので進路は分りやすい。
標高1,100mの平坦部を進んだ先でこの尾根を離れ、右の谷間に降りる。
最初は苔蒸した礫が大きく、不安定なので歩きにくい。
しかし下るにつれ傾斜が緩み、礫も小さくなり歩き易くなる。藪はない。
すぐ右手に沢を見ながら並行して下っていくと、伐採作業跡の荒涼とした平坦地に着く。
ここでさらに右寄りに下降して北股林道の末端へ。沢を渡ってすぐ林道終点だ。
北股林道終点から駐車地(三之公橋)へ
以前は車で終点近くまで入れたが、台風で林道は荒れており、谷側に崩壊している個所や、枝沢で落橋している個所が多い。
壊れた林道歩きは谷間を吹く風が強く、案外寒い。
高塚谷出合を過ぎたあたりから路面が安定し、この先大きく痛んでいるところは無いが、やはり全般的には以前より荒れているように思う。
下山後の入之波温泉を楽しみに、単調な林道を早足で歩く。
味のあるトンネルを2ヶ所潜り、昨日の大鯛山への取り付き点へ。
ここから自転車に乗り、林道を下る。
路面には落石が散らばっており、あまりスピードは出せない。
帰りは下りがほとんどで、漕がずに早く進むことは嬉しい。
4km余りを25分で三之公橋へ着き、無事山行終了。
いつもになく空いている入之波温泉でゆっくり温泉を楽しんで帰路についた。
白鬚岳から池木屋山への縦走は植林が思ったより多く、里山的な感じで自然の度合いが薄い。赤倉山手前の1,221m南に広がる草地と自然林から成る平坦地は植生の感じや周りの風景が良く、今回の山行で一番印象に残った。
また機会があれば春か秋にふらっと訪れてみたい。