残雪期縦走@白山・日照岳から別山、丸山へ
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白山を主峰とする白山山系は南北に連なるが、東西にも長い尾根が伸びている。
石川、福井県境の赤兎山、大長山、取立山などはよく登られているが、岐阜県側を見ると白川村と旧荘川村の境をなす長大な尾根が御母衣湖の西に位置する日照岳まで伸びている。
しかしあまり縦走はされていないようだ。
地勢図で眺めてもその奥深さや風景の良さそうなのが手に取るように分かる。
地形図をつぶさに眺めてみると、残雪を利用しての縦走を想定するとさして困難と思われるところは見当たらない。
強いて挙げれば、南白山の別山寄りの最初の小ピークの等高線が詰まったところがあり、南北に崖マークがあるのでこのポイントだけが雪の付き方次第では気をつけないといけない個所だろう。
技術的なことよりもむしろ山深い山脈の縦走なので、エスケープルートに乏しく、天候の見極めの方が重要だ。
山深さとマイナーな長距離縦走と泊地での展望の醍醐味に期待して御母衣湖に向った。
【行程1日目】 行動時間 8時00分 天気 薄曇り 黄砂で視程が良くない?
御母衣湖畔から日照岳へ
前夜22:50自宅を出発し、荘川ICを下りてすぐの道の駅「桜の郷荘川」で仮眠する。
いつものごとく、目覚めると明るくなっていた。急遽車を走らせる。
朝のガスの中、進行左手の登り口を探しながら駐車地を見つける。
尾神橋を渡って短いトンネルを2つ抜けた先の湖畔側に広いスペースがあった。
ワカンは持っていくか迷ったが、雪が腐った場合に使いたいので念のため持っていく。
(結局今回の山行では使わなかった)
6:50出発。電力会社の黄色の標識が小沢の右岸にあり、ここからスタート。
直ぐ沢を渡って右の尾根を登っていく。
出発準備を眺めていた猿の集団が騒がしい。
しっかりした道で高度を稼ぐ。
今回は5日分の食料と燃料に予備食1日分を用意したので荷が重くスローペースだ。
3つある鉄塔の一番上まで上がって休憩。
ここから先の道を少し心配していたが、鉄塔から先も踏み跡はしっかり付いている。
やがて標高1,150mあたりから残雪が出だしたが、雪の無い個所は押さえられていた枝が道に被さり半分薮漕ぎ状態となり、ザックが引っ掛かり少し苦戦する。
1,305mの三角点を過ぎたあたりからは残雪が続くようになり一安心。
しかし雪面には踏み跡は無く、しばらく誰も登っていないのだろうか?
1,645mのピークまで登ると正面に目指す日照岳が迫ってきた。
下った先から少しの間は雪が途切れ、笹と潅木の薮漕ぎとなる。
しかし僅か5分程度で通過。
あとは残雪のラインを目で追ってそれを辿り、登山口から4時間余りも掛かって日照岳に到着。
何年か前にN村君がこの山にスキーで登っている写真を見ていた。当時どこを滑って降りたのだろうか?
今、同じ風景を目にしているが、今日は黄砂で遠くが霞んでいるのが残念だ。
西の方角には山々が何重にも重なって見え、その一番遠くに別山が霞んで見えている。
あんなに遠いところまでこれから辿るには気が遠くなりそうだが、それと同時に縦走をやり遂げたい強い気持ちがじんわりと内面から込み上げてくる。
日照岳から1,866m峰へ
さて、いよいよ縦走の開始だ。張り切って行こう!でも冷静沈着に自分のペースで!
黄砂で霞があるのは少し残念だが、その分、薄曇りなので多少暑さは凌げる。
風も適度にあるので歩くにはちょうどいい。
日照岳からは豊富な残雪が延々続いている。稜線漫歩だ。
尾根は今までとは違って広く緩やかで、まずは次のピークは登らず北側をかすめる。
日照岳より少し高い1,754m峰からは下降し広い鞍部に出る。
さらに緩い上り下りを続け、1,706m峰へ。
だだっ広い雪原を次の平坦なピークに出ると、進行右手の高い尾根へ移るため右に折れる。
真っ直ぐ行く方に少し高い1,716m峰があるのでガスで視界が無ければ要注意個所だ。
鞍部に下り、登り返しが120m程度。この登りで一汗かき、1,814m峰南西の肩で一息入れる。登る前に見ていたところ、このピークの西に続く側には笹の緑が出ていて薮漕ぎかと思ったが登ってみると稜線北側にたっぷり残雪があった。
ここは御母衣湖側とアワラ谷流域を分かつ長い尾根が接続するジャンクションピークだ。
逆コースではここも注意個所だ。
緩やかなアップダウンを続け、次第に上り一方のだらだら登りを終えると、1,866m峰だ。
広くてどこが山頂かすぐには分からない。大きなシラビソの林となっている。
この1,866m峰の直ぐ西側にある周りを小高く囲まれた場所は、シラビゾなどの針葉樹に囲まれた風の当たらない絶好のテント適地となっていた。
おまけに座ってくださいと言わんばかりのダケカンバの幹が前にたわんでいる。
この場所を見た瞬間、「今日はここまで」と決めた。
明日朝越える1,900mの白い峰が見えている。
今日は日照岳から別山までの約3分の1は来たことになる。
今夜は家で半加工してきたすき焼きだ。
昨夜の寝不足もあり、ラジオもあまり聞かず日の入りとともに早々に就寝。
1,866m峰西側の凹地状地点6:30?△1900.6m峰6:50?8:00 1,883m峰8:20?1,852m峰8:50?10:05 1,993m峰10:15?11:00△2082.7m峰12:00?12:40 2,094m峰12:50?13:20南白山
1,866m峰から1,852m峰へ
昨夜は早く寝たのにまたしても寝坊。
小鳥の囀りで目が覚めた。静かな夜だった。
東の空を見ると雲があるが日照岳の左からお日様が既に昇っている。
青空と雪と針葉樹の緑が鮮やかだ。
まずは広い平坦な尾根を北に進み、左に旋回しながらゆったり上って1,900.6m峰の三角点へ。
これから進む方向とは違うが、すぐ南の広い鞍部には大きなダケカンバの大木が一本立っていて、寄り道する。
長年の風雪に耐えてきた勇ましい姿だ。
これから向う南白山を借景に、青空に映えて実に素晴らしい
10分くらいその木の側で景色を楽しむ。
この木はその後遠くからも良く目立つ存在で、その姿を見させてくれた。
この鞍部からトラバースして西へ続く尾根に復帰し、下降していく。
緩い傾斜の尾根が終わり、痩せた尾根になって少し急な下降となるが、尾根には幸い残雪が細々とだが連なり、問題なく下降できた。
下部で本尾根はすぐ隣の左の尾根に移る。
鞍部に下りてからは、1,793m峰の細長い稜線を越え、向かいの1,883m峰へ標高差130mを上る。よく見るとその頂からこちらに向って単独行の人が下りてきている。
どうやらこの先の最低鞍部で行き交いそうだ。
別山からこの長い尾根を辿って来たに違いないと思い、情報を教えてもらえると期待した。
その人は平瀬のゲートから自転車で大白水への県道を走り、眼下に見えるアワラ谷と大白川の出合から1,871.6m峰の長い尾根の末端から取り付いてアワラ谷の流域尾根を周回するとのこと。
確かに1,871.6m峰の長い尾根には広大で複雑な平坦に近い緩斜面を何箇所か抱えており、その中に池マークが3箇所あり、魅力的な尾根であるのは地形図から想像していた。
その人によると、特に下部には大木のブナ林が続き、素敵な尾根だとのこと。
藪もたいしたことは無いらしい。白山を目の前にブナの森で泊まったとのこと。
是非今度機会があれば同じように回ってみよう!
こんな山を巡っている方に会えて山行がますます楽しくなってくる。
同じように考えている方もいるものだ。
さて、標高差130mを頑張って1,883m峰に。どの山頂も展望は雄大である。
別山がだんだんと近づいてくるが、それにも増して、やはり南白山の山体が大きく存在感がある。
そこから標高差70mを緩やかに下る。
少し今までと違って進行左側は明るい笹の斜面となる。
鞍部から先は雪が途切れ、緑の面が稜線の左右で繋がっている。とうとう藪漕ぎだ。
潅木混じりの笹薮だが、稜線の南側を進むと笹が低く幾分楽だ。
1,852m峰の最後の登りは頑強な笹と倒木、横に生えた枝でザックが引っ掛かり、少し難渋。
しかしこの7?8分程度の薮漕ぎが全行程で一番だったことを思うと薮漕ぎは無いに等しい。
1,852m峰で息を整える。
1,852m峰から2082.7m峰三角点へ
この峰からは直角に右に折れる。進行左側はザブ谷の流域となる。右はアワラ谷流域だ。
60m急下降した後、200mの上りが待っている。
1,993m峰までは同じ調子で緩やかに登っていく。
右手には遠くなった日照岳が、左手には丸山が良く見える。
だらだらした上りに少しバテ気味になって1,993m峰へ。10分余り休憩。
ここからまた下り50m、上り120mで標高2,000mを越える。
上り詰めると2,082.7m峰三角点の西肩だ。
天気が少しずつ良くなってきて、日差しが強く焼ける。
この上りで汗を結構掻き、行程も順調に来ているので1時間の大休止とする。
その前に2,082.7m峰三角点へ寄り道。展望は雄大。
特に三方崩山が素晴らしい。
この角度から眺める白山本峰も大白川流域を隔てて雄大だ。
まさしく360度の大展望。
今日は風も微風で暑いくらいとなる。紅茶、コーヒーを沸かし、菓子を食べる。
普段あまり長時間は休まないが、今日は本当に1時間展望を楽しみながら優雅な時間を過ごした。
この続きの尾根はいつかやろう!と誓った。
このまま行くと今日中に別山にいけるのは間違い無さそうだが、天気も良く、せっかくなので別山は明日にとっておくことにする。
こんなにいい天気だし早く歩くにはもったいないし、この尾根をもっと楽しもう!
2082.7m峰三角点から南白山へ
12時ちょうどに出発。ここからは稜線上に木が少なくなり、真っ白な雪面をゆく。
奥美濃方面の山並みも見える。乗鞍岳、御岳はかなり霞んでいるがなんとか見える。
伸びやかでゆったりとした尾根をわずかなアップダウンを繰り返して2,094m峰に到着。
10分休憩。さらに100m弱上り詰めて待望の南白山山頂へ13時20分到着。
まだ午後の早い時間だが今日はここまで。
だだっ広い山頂は背の低い針葉樹が疎らに雪の上に頭を出している。
山頂の西側の一段下がった場所に南北に長い鞍部状の場所がある。
ここでテントを張ろうと考えていたが、そこは風の通り道になっていた。
またその場所は木が生えていないのでテントは山頂に張ることにする。
意外と山頂の方が鞍部よりも風が無く快適だ。
さて、早く行動を終えたので、シュラフを干したり、お茶を飲んだり、昼寝したり・・・。
次回の白山山系の山行計画を、地図を見ながら考えたりと充実した時間を過ごす。
見たければいつでも目の前の展望は360度。こんな山行がしたかったが今日は適った。
それにしてもこの山は殆ど人が登らないのだろうか?
山頂に標識も無い。いや、気付けば日照岳から先、今まで歩いてきた尾根のピークはおろか、テープ類の目印すら一切見当たらなかった。
この南白山は本当にいい位置にあり、まさしく展望の山だ。
夕日は残念ながら黄砂の影響で冴えない色だったが、夜は満点の星空。
そう、今夜こそ長時間寝て明日は早朝夜明けと共に出発だ。
【行程3日目】 行動時間 8時間20分 天気 薄曇り 午後晴れ
南白山5:40?痩せた小ピーク6:00?2,163m峰6:20?7:30別山7:50?9:15三ノ峰避難小屋9:20?10:05一ノ峰10:15?11:10銚子ヶ峰11:20?11:50 1,572m東鞍部12:20?14:00丸山
南白山から別山へ
今日こそやっと朝早起きして朝食準備。
昨夜は風も無く静かな夜だった。
思ったほど冷え込みが無く、白んでくると雲が多いが薄曇りだ。
それでも御来光は素晴らしい。なんと北アルプスの槍ヶ岳から陽が昇った。
槍、穂高連峰のオレンジ色に輝く姿をテントの中に居乍らにして望めた。
これほどいい条件は滅多にあることではない。
やはり山は朝早く起きることにこしたことはない。
テントから背後を見ると、別山、白山本峰に斜光が当たり、これまた素晴らしい。
5時40分出発。さて西に急な下降から始まる。
アイゼンを効かせて一気に下降。
唯一、地形図を読んで心配していた南北に崖マークで等高線が詰まった小ピークが眼前に迫って来た。
クレバスが2ヶ所見えるが、稜線上はかろうじて雪線が繋がっていて大丈夫そうだ。
ピークの手前の急斜面ではスリップに注意してピッケルをしっかり刺して一歩一歩慎重に上った。
ピークに出ると今度は痩せ尾根だ。
雪で三角形に尖ったナイフエッジの稜線を慎重に辿るが距離は短くすぐに通過できた。
さて今度は下りだ。
だんだん下降すると勾配が強くなり、痩せた個所では木が生えていてそれに掴まり慎重に下る。
その先でちょっとした岩場に突き当たると、下が見えない。
よく観察すると、南側の雪面をバックステップで下れそうだ。
その雪面を10m程慎重に下降すると右にトラバースして雪の付いていない岩場にうまく渡ることができた。
岩場はホールドが豊富でしっかりしており問題ない。
その岩場を3m程真下に下って鞍部に続く緩い雪面に降り着けた。
今回唯一の難所はほんの10分余りで無事通過。これでひと安心だ。
あとは心配も無く目の前の別山に続く広大な雪面をただただ上り詰めるだけだ。
進行左側には三ノ峰から銚子ヶ峰、丸山に続く稜線が雄大で、その背後には石徹白川右岸の山並み、さらに背後に荒島岳、能郷白山方面が大野盆地東端の雲海の上に広がっている。
今日は昨日までの黄砂の影響が無いのか、遠く北アルプスや中央アルプス、果ては伊吹山まで見渡せる。
3日目にして別山への最後の登りを一歩一歩堪能しつつ高度を稼ぐ。
別山の北の稜線には二人の登山者が見える。
時々背後の越えて来た山並みを眺めながら前を向くと別山が次第に近づいてくる。
7時半、ついに別山の山頂へ。長い長い尾根を辿れた充実感に浸る。
ここまでいったい幾つのアップダウンを延々と繰り返したことか。
それにしても一般登山道が無いルートとしては長い縦走でやりがいがあった。
ルートとしてはやや平凡ではあるが自然たっぷりで展望も良く、私にとってはいいルートだった。
別山は今回で3度目の山頂だが今日が一番嬉しい登頂となった。
展望を楽しみながら大休止としよう。
別山から銚子ヶ峰へ?
別山からは三ノ峰の手前までほぼ下り一方だ。
踏み跡が多数あり、快調に飛ばしていく。
御手洗池は雪に埋まっている。
三ノ峰へ少し上り返す。少し下って三ノ峰避難小屋へ。
この小屋は以前泊まったことのある面白い思い出のある快適な小屋だ。
小屋の前の雪は解けて地面が出ている。
小屋前で少し休憩してから、南縦走路へと下る。少し急な個所もあるが、踏み跡多数。
あっという間に半分小走り気味に下降する。実に爽快。
しかしだんだん日差しが強くなってきて汗ばむ陽気だ。
一ノ峰への上り返しで少しバテ気味。風の当たる場所で一息入れる。
一ノ峰の次は1,784m峰。
ここは願教寺山方面のジャンクションピークで石徹白川右岸の稜線の分岐点。
今日は踏み跡があり、何人か入っているようだ。
その後何度かアップダウンの後、銚子ヶ峰へ。山頂の標識のところは雪が無い。
だんだん青空の色が濃くなってきて、振り返ると背後の別山、南白山が先ほどよりもくっきり映えてきている。
銚子ヶ峰から丸山へ
銚子ヶ峰からは緩く下り、南の台地の東の縁を辿って左にやや急下降し、広い尾根をさらに下る。
正面に大きな丸山が望める。青空に映えて美しい。
やがて下りが終わって平坦になると左右に尾根が別れる。
右に行けば神鳩ノ宮避難小屋だが、小屋には寄らずにそのまま主稜へ左折。
GWで小屋はさぞ賑わっていることだろう。
時間が早いので、小屋には泊まらず、丸山の山頂か以前泊まった丸山を越えた先の鞍部の荘川側に泊まることとする。
主稜を下降し、1,572m標高点の東の鞍部へ。
ここで大休止。6?7人の丸山ピストンのパーティと出会い少し話す。
紅茶、コーヒーと菓子で30分余り過ごす。
青空がますます広がり、快晴になった。今山行で一番いい天気だ。
さてここからは1,680mの広いピークに上がる。
前回大日ヶ岳から縦走したときは北側の山腹をトラバースした。
今回は踏み跡に従いピークを越える。
このピークからも展望が良く、野伏ヶ岳や薙刀山が綺麗に見える。
ピークから少し下り、しばらくだらだらと行くと、急な上りとなる。
標高差100m余り頑張ると急に緩やかになり、5分ほどで丸山の山頂へ。
時刻は14時ちょうど。
丸山の上りで西側からの風が少し強くなってきたが、山頂の少し北側の残雪のうねりの凹みへテントを張る。
風上側にシラビソがあり、風はうまい具合に当たらない。
テントを張っていると一人の登山者が現れた。聞くと避難小屋泊まりでこの丸山までピストンとのこと。
ところがいろいろ話していると、すごく近所の方だと分った。しかも、私の親の知り合いだった。
私の名前も知っておられた。なんと言う偶然だろうか。
こんなマイナーな山頂で繋がりのある方と会うなんて!まさしくビックリ!
いつか山行にご一緒しようと言って連絡先などを交換して下山させるのを見送った。
南白山での泊まりに続き、今日も山頂泊まりでテントからの眺めは一級だ。
また前回はここ丸山の山頂では濃いガスで展望が全く望めなかった。
今回は快晴でそのリベンジを果たせることとなった。
歩き通して来た日照岳から南白山、別山への稜線の白が青空に映えて美しい。
(あとでよく地図で照合すれば1,900.6m峰三角点と日照岳がほぼ重なるので別山から日照岳までの日照岳寄りの3分の1は見えていない)
今夜も星空が綺麗で、人工衛星の動きもよく見えた。
【行程4日目】 行動時間 7時間10分 天気 ガス後午前7:30より晴れ
丸山6:10?県境離れる6:35?7:00 1,652m峰7:10?1,451m峰7:45?8:25行き止まりの林道交差8:35?8:50林道(標高1,050m地点)9:15?林道起点(国道156号との交点)12:55?13:20国道156号尾神5洞門南口の鉄塔登り口
丸山から林道へ
朝は期待はずれ。
天気予報では良く晴れると言っていたが、ガスで夜明けを迎えた。
今日は下山だけなので急ぐ必要は無い。
時々青空が覗くのでガスが濃くはないようだ。
丸山からは急な斜面を下降する。
みんな丸山へ小屋から往復するのか、途端に踏み跡は無くなる。
芦倉山へ向う主稜線は下降するほど傾斜が緩み、のんびりと歩く。
最低鞍部に着くと、その左手は前回泊まった場所だ。
やはり今日もブナの大木に囲まれていい雰囲気。泊地に絶好の場所だ。
この鞍部からは目の前のピークの途中まで上がり、稜線を離れて左にトラバースする。
西北西に張り出した1,625m峰との鞍部を目指す。
この鞍部はシラビソとブナが半々で混じり、ここも泊まるのには絶好の場所だ。
実にいい雰囲気の素敵な森だ。
さらにこの鞍部を渡って、今度は南西の1,652m峰に続く尾根に乗り換える。
ブナの林をトラバースし目的の尾根に出る。
この面白いように3方向に尾根が分岐するあたりは地形図の等高線がおかしい。
1,620mの等高線の間隔が妙に広く描かれているが実際はそうではないので少し注意が要る。しかし地形自体は急峻ではないので問題はない。
2つ目の鞍部に移ってから標高差40mを上ると1,652mのピークの手前に出る。
ここも眺めが良いが惜しいことに芦倉山、丸山とも山頂部だけガスで見えない。
このピーク直前で左折し広い尾根を東に下降する。緩い傾斜で広くどこでも歩ける。
左に枝尾根を分け、やがて尾根が狭まり、1,451mの先では平坦になってしばらくで、尾根が三方に別れる。
ここで日照岳から別山への稜線の見納めとなる。
喉が渇いたので水を求めて真ん中の沢に降りて水を飲む。
その沢をそのまま下降しようとしたが、藪が煩いので右手の中央の尾根に移り、この尾根を下る。
雪が途切れ出し、つる性植物も現れて部分的だが本格的な薮漕ぎとなる。
傾斜がかなり急になり、力ずくで下降するがよく前方を観察するとところどころ雪の面が残っている。
それらをうまく渡りながら傾斜が落ち着くと行き止まりの林道に出た。
林道は残雪で覆われている。
この林道はそのままクロスしてここから植林帯となり、小沢の右岸の植林内の残雪を利用してさらに下降する。
下の本線の林道に降りつく最後5分は少し急だがうまい具合に雪が繋がっていて林道に降り立つことができた。
丸山山頂から2時間40分で林道に降り着いた。
あたりの木々はあまり芽吹いておらず、今年は本当に春が遅いと実感する。
沢にはコゴミが顔を出している。他の山菜はまだまだのようだ。
林道を歩き国道156号の駐車地へ
さてここからは延々と林道歩きだ。ところどころ落石で埋められた林道を行く。
山と川が狭まった北側斜面の日陰の個所では残雪が道路いっぱいに残っており、路面の谷側の僅かな縁を歩くがかなり高度感がありスリルがある。
途中3回15分程度の休憩を入れて3時間40分掛けて国道に出る。
この林道は国道から1kmほど手前でダム湖に向かって大きく崩壊しており、とても車は通れない。
国道との交点にはしっかりしたゲートがあり、この林道は車両通行止めだ。
長い林道歩きで足が痛くなったが、国道に荷を置いてさらに30分駐車地まで国道を歩く。
途中には2ヶ所の狭いトンネルがあり、GWで車が多く気付かれずに引っ掛けられないかと少々怖い思いをする。
白いタオルを振って存在を示しながら無事トンネルを通過し、車に辿り着いた。
3泊4日の長かった山行を終えた。