沢登り@奥美濃・根洞谷下降、金ヶ丸谷遡行

 金ヶ丸谷は原生林に覆われた自然環境の素晴らしい谷で、三周ヶ岳を除いて美濃俣丸、大河内山、不動山など未だに道の無い山々が谷を取り囲んでいる。根洞谷も植林は一切無く、美しい広葉樹を主体とした原生林の中を穏やかに流れている。 
 以前、6月の金ヶ丸谷を目指したが、残雪が多く中退した。この時は徳山ダムがまだ建設中で、戸入、門入経由でアプローチ出来たが今回は入れないため、夜叉が池登山口から尾根をひとつ越えて隣の根洞谷を下降し、入渓することにする。帰路は三周ヶ岳への登山道を利用して元に戻る計画だ。それと今回はキノコを楽しむのも目的のひとつだ。

【行程1日目】行動時間 8時間20分  天気 曇り時々晴れ 
夜叉ヶ池登山口7:10?2本目の支流7:30?8:35県境と黒壁山間の最低鞍部8:45?10:15根洞谷本流10:25?12:40黒壁、烏帽子間からの沢出合12:50?13:30金ヶ丸谷、根洞谷出合13:45?励谷出合14:50?15:30標高710m左岸台地

 H岡号の車で八草トンネルを抜けて池の又林道を最奥の夜叉ヶ池目指して走る。夜中1時頃に着くが他に車は無い。外に出ると風が強く寒い。テントと車に分かれて仮眠をとる。
 朝は天気予報に反して雲が多く風もあり寒い。装備を振り分け、7時過ぎ出発。登山道を少し進み、2本目の沢を登る。ほんの少し進んだところでナラタケが出ている。以後、今回の沢旅ではこのナラタケが夥しい数生えており、目にしない場所は無いほど大量発生していた。沢は単調で同じ調子で高度を稼ぐ。1時間余りで予定通り稜線に出る。
 ここからは下降するが、F澤さんと相談し、地形図で検討して真北に進路を取ることにしたがこれは間違いであった。次第に急な岩交じりの壁に取り囲まれ、引き返すこととなった。
 ネットでも右寄りが正解のようなことが出ていたが地形図から判断して行けそうに思えた。皆も疑問を持たないところだ。しかし実際はやはり右に行くべきだった。右の尾根に乗り換えて下降し、最後の方は左手の斜面を降りて無事根洞谷支流に降りられた。
 1時間半を要して本流に出合出て休憩。両岸の樹林が美しい。穏やかな流れを眺めながらゆったりした気分で下降していく。下降といっても平坦に近いところもあり、キノコも探しながら、みんな思い思いの場所を進む。ナラタケは異常なほど大量発生している。

根洞谷の穏やかな流れをゆく

マイタケの収穫

樹林は綺麗だが、変化が無いので場所の特定もしないまま、単調に歩く。途中沢の真ん中の目立つ倒木にマイタケが出ていた。マイタケは初めての体験だ。皆嬉しそう。今夜の鍋に入れるため採取する。

 12時半過ぎ、黒壁、烏帽子の間を流れる支流の出合に到着。さすがにこの沢の出合は地形図から直ぐ分かる。そこからも穏やかな流れを眺めながら進む。途中で大きめのキクラゲを見つけた。これも今夜食べよう。金ヶ丸谷出合の手前は少し釜やへつる場所があって沢登りらしくなるがそれも短く、前方に明るく広い河原を持った金ヶ丸、根洞谷出合に出た。しばらく休憩とする。風があり少し寒い。午後1時半になっている。

根洞谷と金ヶ丸谷の出合を渡渉

 金ヶ丸谷は根洞谷よりも大きく、水量も多い。紅葉にはまだ早いが緑が綺麗だ。
 単調に遡行し、ただジャブジャブと水の中を歩くだけだ。両岸にはブナやカツラ、トチ、ナラなどの老木があり、威厳を感じる。励谷出合は午後3時前で、この辺で泊まるか先に進むか皆で話し合う。まだ進もうということで、歩き出す。小ヤブレ出合と本流の大きく屈曲したところの中間の左岸にいい場所を見つけ、ツェルトを2張り張る。
 今夜はK田さん特製のすき焼きだ。本日収穫したナラタケ、キクラゲ、ブナハリタケ、ナメコそれになんと言ってもマイタケと、キノコを一緒に入れて味わう。ナラタケはそこら中にあるので、鍋を抱え近辺で集めると直ぐにいっぱいとなった。
 美味しく鍋をみんなでつつく。夜は焚き火に当たりまったりとした時を過ごす。F澤さんはいつものようにそのへんに転がって既に寝ている。

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焚き火とキノコ鍋

【行程2日目】行動時間 7時間30分  天気 晴れのち曇り
幕営地7:40?8:00大ヤブレ出合8:20?9:00最初の滝9:30?11:05大きな釜を持つ滝11:15?11:25原生林の綺麗な森12:20?13:40稜線(三周ヶ岳往復40分)14:20?15:00夜叉ヶ池分岐15:10?16:15夜叉ヶ池登山口

 今日は朝からいい天気だ。清々しい朝の冷気の中、火種から焚き火を起こす。朝のまったりした時間もいいものだ。のんびり過ごし、8時ちょうど出発。10分ほど森の平流を辿ると、美濃俣丸より北東の水を集めて流れる大ヤブレ出合。このあたり大きなブナやトチの大木に囲まれ素晴らしい景観だ。金ヶ丸谷の森の一番綺麗なところかも。出合を越えた本流の左岸にも泊まりに絶好の台地が見える。
 この出合からもしばらくの間、穏やかな流れの中をみんな思い思いに歩を進める。標高750mを越えてくると、次第に両岸に壁が立ってきて、ちょっとしたゴルジュ状となってくる。9時過ぎ、左に屈曲した流れを辿ると釜を持った滝が現れる。

最初の滝

 左岸にロープが垂れている。F澤さんが先に越え、以下みんな続く。その後も釜を持つ滝が現れるが、どれも易しく登れるものばかりだ。11時過ぎ、恐らくこの谷で一番綺麗な釜を持った滝が現れる。ここも左岸の岩を登り落ち口をトラバース。上から覗くと右岸の円い凹角と釜の丸みが絵になる。

綺麗な釜を持つ滝を登る

 3時間程で両岸が開けてきて、再びブナの森に入っていく。うっとりするような綺麗な森だ。いつまでもこの原生林が保たれることを強く願う。
 また今日も秋の沢歩きでの自然の恵みに感謝する。ブナの老木の根元にびっしり付いた大きなマイタケの株やナメコなど・・・・・自然から少しばかりの収穫をいただく喜び。

金ヶ丸谷源流のブナの森をゆく

 さてかなり源流まで来た。すると沢の分岐にテープが下がっている。このテープどおり辿り、か細くなった流れを上に上にどんどん登り詰めると、たいした薮もなく目指す三周ヶ岳南の鞍部にぴったり出た。しばし休憩。
 しっかりした登山道を空身で辿り、三周ヶ岳山頂へ。昨日から今日へと辿った沢がこの山頂から伸びる尾根を境に、深い森に包まれた流域が俯瞰できる。
 やはり奥美濃は素晴らしい!
 午後2時を回り、既に登山者は見かけない。静かな登山道を辿って夜叉が池の分岐点に。何度か歩いた道を坦々と下って、夕刻の斜光を浴びながら登山口に。2日間の周回山行は無事終了。
 今回、起点終点を同じ夜叉が池の岐阜県側登山口にした。金ヶ丸谷を下から辿るには、今となっては徳山ダム完成により交通機関利用はもちろん、車を利用してもアプローチが困難だが、この登山口から周回すれば2日間で無理なく上手く回れる。黒壁山鞍部から根洞谷への下降は左側を降りようとしたが、一番右寄りの尾根を下るのが正解のようだ。地形図からでは左でも容易に見えるが左は急峻で懸垂下降が必要のようなので要注意。
 秋空のもと、原生林の森と癒しの流れ、キノコの味覚と焚き火の時間と・・・・・沢旅の要素が詰まったいい沢だった。

マイタケの大きな株発見

ナメコ

キクラゲ

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