山スキー縦走@北アルプスオートルート(室堂~スゴ乗越~薬師岳~黒部五郎岳~大ノマ乗越~新穂高温泉)

日程:4/25(水)夜発-4/29(日)

メンバー:六車(単独)

4/25 小雨(富山駅)

少しだけ家の掃除をして京都を出発する。久々の単独行、しかも山域は北アルプス。覚悟がいる。ドキドキとワクワクが交互にやってくる。
京都から富山まではサンダーバードと北陸新幹線を乗り継いで。3時間ほどで着くから早いものである。北陸新幹線が延長したらもっと早くなるんだろうな。
そんなことを思いながら富山駅に到着。今日は駅周辺のビジネスホテルに泊まる。せっかくだしということで近くの居酒屋に。日本酒を3合ほど頂いた。

富山駅で1人壮行会

4/26 快晴

05:25電鉄富山駅ー06:30立山駅07:10-08:30室堂08:45-09:45一ノ越09:55-11:15鬼岳・獅子岳間コル-12:15獅子岳-13:00ザラ峠-13:40五色ヶ原山荘13:50-14:30鷲岳-16:00越中沢岳手前TS

電鉄富山立山行き始発に乗る。アジア系外国人が9割を占めている。京都も似たような感じ。立山駅も同様にアジア系がいっぱい。まさか平日に切符売り場で並ぶことになるとは… 繁盛しているのはいいことだね。
twitterで太郎平山荘の営業準備で昨日スタッフが飛越トンネルから入山したらしいが、雪少ないらしい。いわく2番目に少ない?とか。飛越トンネル方面に入下山する場合は歩きのセクションが多いことを覚悟しないといけない。
立山駅からのケーブルカーは満員電車状態.バスも満員だった.やっとこさ室堂に到着して登山届けを出し,京大山岳部OBで立山でガイドをやっている松田さんと少しの談笑のあと出発.
一ノ越まではなるべくペースをあげないように意識して歩く.雪面はカチカチで始めからクトーをつけて歩く.一ノ越に到着すると富山県警山岳警備隊の「御山谷から黒部ダム方向積雪不足のため通行困難」との立て看板があった.雄山方面の稜線も雪がないし,今年はやはり残雪少ないのだろう.それにしても親切な立て看板である.
一ノ越でシールを外し,龍王岳を巻くように滑走開始.カチカチかと思っていたが,緩んでいて気持ちよく滑走できた.鬼岳の北側のコルまでシールをつけて登り返し,鬼岳は東側をトラバースしてシールをつけたまま獅子岳のコルまで滑る.
獅子岳を少し通り過ぎてからザラ峠に向かってシールを外し滑走.夏道は既に出ており滑走不可だったため東側の斜面を滑る.なかなかの傾斜で雪も緩んでいるため爽快な滑りができた.
真っ白な雪原の五色ヶ原を抜け鷲岳.鷲岳からシールを剥がし滑走をするが薮が出ており一部夏道を歩かされた.再び雪が出てきたところが結構いやらしく,急な雪面をトラバース気味に滑らなければいけなかった.結構緊張した.そして越中沢岳に向かって少し登ってテント泊.この日は夜も暖かく,テントの結露もなかった.

人でいっぱいの立山駅

室堂.

一ノ越は雪がカチカチでクトーで歩く

親切な立て看板

御山谷滑走

鬼岳のトラバース

ザラ峠.なんとか滑ってこれた.

北アルプスでは珍しい雪原,五色ヶ原

五色ヶ原山荘

鷲岳ピーク

 

雪が切れていたので仕方なく夏道を歩く

この斜面をトラバース気味に滑ったがなかなかスリリング

トラバースを振り返る

 

1日目TS

 

4/27 晴れのち曇り

04:20TS-05:00越中沢岳05:10~09:20スゴ乗越09:30~10:40スゴ乗越小屋前TS

越中沢岳からの下りは最初はスキーで滑るもすぐにハイマツが出てきて夏道通しに。途中ルートをミスったり、シートラでの歩行に難儀したりして時間がかかる。やっとの思いでスゴの頭の前のコルに到着。
スゴの頭を巻くために西側をスキーでトラバース中、クラックに気付かず滑り込んでしまい、15mほど滑落。何とか木に掴まり停止。幸い怪我はない。被害はスキーリーシュのカラビナとザックのピッケルホルダーのみ。死ぬかと思った。しっかり休憩して気を落ち着かせ、ここからは安全第一でアイゼンピッケルに変えてスゴ乗越まで。越中沢岳から5時間もかかってしまった。
スゴ乗越小屋についた時は10:40ほどで今日中に太郎平小屋まで頑張ったらたどり着けそうだが、滑落のこともあり精神的に疲労しており、明日以降も天気は良さそうなので早いがスゴ乗越小屋で泊まることに。よく休めた。

越中沢岳

スゴの頭とコル

途中夏道を進む

スゴの頭を西側からトラバースで巻く.滑落してしまってからは慎重にアイゼンピッケルで

2日目TS

4/28 快晴

05:40TS-06:40間山-08:00北薬師岳08:10-09:15薬師岳09:25-10:15薬師峠10:25-10:45太郎平小屋11:00-12:40北ノ俣岳13:00-13:20中俣乗越13:30-15:25黒部五郎の肩15:55-16:05黒部五郎小屋

昨日はよく休めたためすっかり元気になって出発.ただこの日はこの山行中一番冷え込み,朝はテントの結露がかなりあった.
間山,北薬師岳まではクトーを効かせ,気持ちよく登っていく.北薬師岳につくと風がぼちぼちあり寒い.北薬師岳・薬師岳間の稜線は細く,途中夏道も出ているところがあるのでアイゼンピッケルで進んだ.ほどほどにルートファインディングが必要で視界がなければ厳しい稜線であろう.
薬師岳に着くと一ノ越以来に人に出会い,写真を撮ってもらう.薬師岳は雪がなく,頂上からドロップできなかった.少しアイゼンで下って滑り出す.薬師岳ピークから滑るのは何気に楽しみだったので残念.僕は個人的にピークから滑ってこその山スキーと思っているところがあるので・・・
滑りは途中やぶも出ているため雪が繋がっているところを縫うようにして滑る.まだ雪が緩んでおらず溝もたくさんあり,修行系の滑走となってしまった.
薬師峠から少し登り返して太郎平小屋に.今日はここで泊まってもいいのだが,まだちょっと元気だったし黒部五郎まで行くことにする.コーラ(400円)を買って飲んで元気を出して出発する.
太郎平まで元気だったが北ノ俣岳への登りで暑さと何気に薬師の600mアップ600mダウンが今になって堪えてきたのかペースが落ちる.ヘトヘトになって北ノ俣岳に到着.中俣乗越まではトラバース気味に滑る.ここは快適な滑走だった.
中俣乗越から今日最後の登り300m.ここは亀の歩きのペースで随分時間がかかった.この登りで今日同じくスゴ乗越からきたという単独スキーヤーに抜かれる.この方は黒部五郎岳ピークへ行った負が,僕はヘトヘトだったのでピークはパスすることに.
黒部五郎の雪庇は立派なもので,例年の記録だと肩のすぐ北東のコルから滑り込めるはずだが今回は雪庇で近づけず,ほぼ夏道沿いに滑りこむしかなかった.雪は少ないのに雪庇は立派・・・
カール状には既に先行者のシュプールがあった.滑走準備をノロノロとやっていると黒部五郎ピークに行った単独の方に追いつかれ先にカールへドロップイン.気持ち良さそうに滑っていた.この方は今日は双六小屋まで行くらしい.歩行の速さ,滑りの速さからもアスリートみたいだった.僕ももっと強くならなければ・・・
さて,最後の黒部五郎カールの滑走は良いザラメで非常に楽しめた.この山行中一番楽しい滑走だった.山スキー最高!である.10分ほどで黒部五郎小屋に到着.今日は小屋泊にすることに.
小屋では岐阜の山スキーヤーの方とご一緒する.お裾分けを頂いたり,いろんなお話をして楽しい小屋泊となりました.ありがとうございます! この方は高天ヶ原へ行く予定だったらしいが小屋から五郎沢少し滑ったところで割れており行くことができず,三俣山荘へ遊びに行ったらしい.やっぱに今年の雪の少なさは異常である.

間山

北薬師岳・薬師岳間の細い稜線.ここは全てアイゼンピッケルで

薬師岳ピーク

槍をバックに

あっという間に薬師峠

黒部五郎の肩から赤木平

雪庇がすごい

カールの滑走は快適そのものだった

シュプール

黒部五郎小屋.3日目は小屋泊

4/29 快晴

04:50黒部五郎小屋-06:50三俣蓮華岳06:55-08:20双六岳08:40-09:00双六谷大ノマ乗越分岐09:10-10:35大ノマ乗越10:50-11:40秩父沢登り返し地点12:00-13:50林道出合-14:05わさび平小屋-14:20笠新道分岐14:30-15:22新穂高温泉ロープウェイ駅

小屋をご一緒した方に見送られながら出発.最初の急斜面はアイゼンで登る.三俣蓮華までの稜線は途中雪が切れたりしており,時々板を脱ぎながら通過.三俣蓮華岳から双六岳の稜線上も雪が時々切れていた。双六岳に到着した時に唖然としたが、双六小屋方面の稜線に雪がない… 双六岳からは双六小屋を経由せず直接双六谷に滑りこむ。双六谷は既に割れており水が流れている。GWにこのような状態になっている記録は見たことがないのでやはり今年は雪が少ないのだろう。通過は問題ないが。最後の大ノマ乗越への登りを経て最後の滑走。最初は気持ちよかったが,すぐに雪はグサグサ,溝だらけ,下部はデブリだらけで滑るのには苦労した.最後の最後で完全に油断していたのか小池新道の方ではなく秩父沢の方に滑り込んでしまって登り返す羽目になってしまった.雪が少なくヤブだらけで下手にトラバース気味に復帰しようとしたのも失敗で2時間くらいロスしてしまった.僕は山行中スイッチをオフにする癖がある気がするので気をつけなければ・・・
林道出合の橋のところからは板を脱いで歩く.たまにデブリがあるが,基本的には雪はなかった.ひたすら無心に林道を歩き,新穂高温泉に下山.すぐ近くの「湯気の国」で温泉に浸かり,バスで高山駅まで.この日は高山駅近くのゲストハウスに泊まり,翌日帰洛.

双六岳ピークから小屋方面への尾根は雪がない

双六岳ピークから双六谷に向かって谷沿いに滑る

双六谷は割れているが通過には問題ない

最後の下り

林道合流地点の橋

林道には雪はほぼない

わさび平小屋

新穂高温泉ロープウェイ

高山駅周辺で.飛騨牛串焼き.久寿玉が美味しかった

高山ラーメン

感想・反省

ルート全体として事前からわかっていたことだが雪が少ない.スキーだと雪が少なのは辛い.特にスゴの頭の巻き,薬師岳ピークからの滑走ができないのはかなり痛かった.もっと残雪が豊富な年に北か南にさらに伸ばしたルートを歩いてみたい.

ただ天候に恵まれ,予定していた計画を完遂できたので非常に満足.久々の達成感のある山行.しかしスゴの頭のトラバースで滑落してしまったり,下山日に秩父沢に迷い込んでしまったりと色々反省点は多い山行だった.本当に生きて帰ってこれてよかったと思う.運が良く,成功したという面が多いと思うのでまだまだ実力不足なのを痛感した.ルート判断,体力,滑走技術etc.今後の課題が確認できた.

これからも慢心せずに精進していきたい.

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