秋山縦走@白峰南嶺 広河内岳~笊ヶ岳

山行名:秋山縦走@白峰南嶺 広河内岳~笊ヶ岳
日 時:2017年11月2日(木)夜発~11月5日(日)
メンバー: K川 Sモア O崎 M車 H田 他1
ルート:1日目 06:40奈良田駐車場~10:30大門沢小屋10:40~14:10大門沢分岐14:20~14:50広河内岳~15:10テント適地
2日目 2:40テント適地~03:20大籠岳~04:20白河内岳~05:20笹山南峰~07:40白剥山~08:20奈良田越08:30~10:30伝付峠
10:40伝付峠水場10:50~11:00伝付峠11:10~13:20天上小屋山~13:20テント適地
3日目 02:40テント適地~03:00生木割山~05:00椹島下降点05:10~05:40笊ヶ岳06:10~07:10布引山07:20~10:10山ノ神~
10:33広河原10:50~12:20老平駐車場

雨に泣かされた10月が過ぎ去り11月最初の連休。
今回は南アルプスの白根三山の南に伸びる白根南嶺を縦走し笊ヶ岳を目指す計画を立てた。
久々のがっつり縦走、果たしてどうなることやら。

新名神から新東名に入り、新清水ICへ。降りたところのガソリンスタンドがどこもやっておらずちょっとタイムロスしながら身延の道の駅で仮眠。

3日 紅葉と快晴のコンタ上げ
配車もあるので3時半起床。適当に準備していると、となりの車のM車が荷物を漁りながら頭を抱えてて「しまった!」と宣っている。
どうやら靴を忘れてきたらしい。あれま。

幸いH田さんがアプローチシューズを持ってきており、稜線の雪も溶けているようなので、なんとかサイズの合う靴が余り事なきを得る。

そんなこんなで奈良田温泉へ向かい雨畑へ配車をする。
喰らいなか寒い駐車場で待っていたが1時間ほどで明るくなり回りの美しい紅葉が見えてきた。
配車組も戻ってきていざ出発。

最初は林道を歩いていき大門沢沿いに歩いていく。

林道から登山道に変わる手前の渡渉点の橋が流されてた。
すんなり水に浸からずに飛び石できるところは見つけられたが台風の威力はさすがといったところ。
この時期にしては水量自体も多く感じられる。

登山道に入ってからは紅葉が最盛期。黄色やオレンジを主体の森に青い青い空から注ぐ柔らかな陽光が得も言えない美しさを醸し出す。
今年は晴れ空の紅葉を見ていなかったので、感動もひとしおだ。

そんなこんなで沢沿いを詰めていく。
大門沢小屋の少し手前で丸太橋が流されており、ここは靴を脱いで渡渉。秋の沢水はやはり冷たい。

小屋の少し前で今日の夜と明日の行動水を汲む。
これから急登だというのにザックがズシリと重くなった。
水自体はもう少し上の方でも汲めたが、台風後の増水でもあるので小屋の前後で汲んでおくのが無難だろう。

ほどなく大門沢小屋へ。Sモアは13年振りだがちょっと掘っ立て感のある小屋は当時のまま。
富士山も見えていい感じだ。

さてここから本格的に3000m近い稜線への登りが始まる。
対岸のカラマツの紅葉を横目にシラビソの森の中を登る。
一旦沢沿いに出て大門沢のガレ場を一望できてからが本番。
ひたすらジグザグの急登を登り、息を切らしながらシラビソ、ダケカンバ、ハイマツと遷移を辿っていく。

気がつけば背後には色とりどりの山々が続き、その向こうには富士山がどっしり構える素晴らしい光景に変わっていた。

近くも遠くも見える山がどんどん増えていき、ひとふんばりしてやっとこさ稜線へ飛び出すと一際大きな迫力を持って塩見が迎えてくれた。

大休止をしながら山座同定。遠くには奥秩父や大菩薩、道志方面の、富士山を取り囲む天子山塊や御坂、農鳥岳や間ノ岳、鳳凰三山といった南アルプスと中学高校の思い出が詰まった山々が広がる。
そして、これから歩く稜線は当時から歩くことを思い描いていた稜線だ。目指す笊ヶ岳はまだ見えない。

広河内岳の少し先くらいでテント適地を探そうということで先へ進む。
少し先アップダウンしながら南アルプスらしい稜線をあるいて広河内岳へ。
塩見や荒川三山、赤石がよく見える。
明日の冬型の影響か多少風が強い。雲も少し増えた。

適当に下ろして行き広く平らなところでテントを張る。少し風があるのが気になるがまぁ、大丈夫だろう。

今日は2000mくらいのコンタ上げでなかなか疲れたが明日は水平方向に歩けるところまで。
テントに潜り込み、スープで体を暖める。
今日の晩御飯はペミシチュー。油が疲れた体に染み渡る。
今回は軽量化で酒は少なめ。明日も早いので早めに沈。
昇りはじめた月が富士の横に浮かび、甲府の夜景が美しい。

4日 寒風の稜線を越えひたすら南へ
気合いの1時半起床。朝御飯は卵まで入った具沢山うどん。うまい。

今日は笊ヶ岳目指してひたすら南進だ。
外に出ると昨日よりも風は強くなっているがまだ稜線は見えており天気は崩れていない。
バタバタはためくテントをザックに押し込んでいざ出発。

塩見の上に移った月が照らす稜線はヘッドライトが要らないほどに明るい。
広々とした稜線は明るいときに歩いたらさぞ気持ちいいのだろうが、ぼんやり月明かりにてらされモノクロの陰影が浮かび上がる中を歩くのも悪くない。

なんとなく踏み跡を辿りながら時折脛丈くらいのハイマツに突っ込んだりしながら先に進む。
大籠岳までにもジャンボが張れそうなテント適地がいくつか。

白河内岳の前後はメインの稜線上に道が付いていないので少し分かりにくい。ハイマツの中で風を避けながら休むがやはり寒い。
登りは西よりからケルンを辿りながら、だだっ広いピークからの下りは国境稜線の少し西より道がある。
他パーティのテントの明かりにも助けられた。
この辺りが一番風が強くなかなかしんどい。

笹山までもちょいちょい道が分かりにくいところがあり、ケルンやハイマツにうっすら見える踏み跡を探しながら進んでいく。
笹山くらいで日の出を迎えたが雲が多く御来光は拝めず。
ようやく目指す笊ヶ岳があれだと認識できたがまだまだ遠くて本当に着くのだろうか思う。

笹山からは標高を下ろしていきハイタッチできるくらいのハイマツ帯からシラビソ帯に入っていく。
ずっと強かった風もようやく落ち着いて休憩もゆっくり取れるようになる。

そこからは時折急斜を交えながら樹林内を歩いて標高を下ろしていく。
白剥山を過ぎて奈良田越に近づいてくるとカラマツ林となり紅葉が美しい。
ボロ掘っ立て小屋みたいなのを通りすぎるとほどなく奈良田越に着く。
ここから林道に出るところは迷いマークがついていたが案の定ちょっと間違える。

ここからしばらくは林道歩き。カーブミラーなんかはあって昔は車が入っていたのだろうが今はすっかり廃道。
周りの植林から実を落としたカラマツの幼木かにょきにょきと生えている。
靴が合わなくて足がいたいM車くんはここからクロックスを履いて行動。下りが足が痛くてしんどそうだ。

水平移動かなと思っていたが意外と登らされる。
途中何パーティかともすれ違い少ないながらも思ったよりも人に会った。
地形図にも道が付いていない別当沢山を登ってきたというマニアックな人たちもいた。

途中、視界が開けて富士山なんかも見えるところもあったが、稜線はすっかりガスの中に入ってしまう。林道でも吹きさらしでは風が冷たい。
西別当沢山の近くで林道が大きく崩壊して巻き道を歩かされる箇所があった。

そのあたりを下ると再び緩やかに伝付峠に近づくにつれて林道が綺麗になっていく。
伝付峠で水を汲むために大休止。
水場は10分くらい下ろしたところにあるがなにやらゴミが散乱していて閉口する。
峠にあるというトイレは道標から少し先にあるがボロボロで使う気はしない。

少しばかり重くなったザックを再び背負って先へ進む。
峠からもしばらく林道を歩いて登山道に入ってからはトラバース道を進んでいく。
稜線のガスはさらに広がり虹も見える。樹林内でも寒風が吹き付け、バッチリ冬型で寒気流入といったところだ。

ここまで10時間以上歩いてきて疲れもでてきたのでテント適地を探しながら進むこととする。
とりあえず天井小屋岳を踏ん張りで越えて伝付峠から笊ヶ岳の間で一番美しいという森を歩いていく。苔むしてていい雰囲気だが、普通の森。

生木割山までいこうかとも思ったが、開けたいい感じのところがあったので今日はここで行動終了。
テントを設営していたら、雪が一瞬ちらつく。今年初雪。もう冬や。

晩御飯はペミカレーやっぱりうまい。
お酒をのんでうつらうつらしながら明日も早いので6時くらいに沈。
シュラフに潜りこむ頃には東の空に月が浮かび晴れ間も広がり始めていた。
明日は御来光の見えるかな?

5日 南アの展望台の御来光から紅葉の樹林へ
今日も気合の1時半起床。
朝御飯はクリームペンネ。ベーコンやらニョッキやらが入り、朝から気合入る。

外へ出ると木々の影が見えるほど明るく輝く満月が快晴を教えてくれる。
あんまり早く行ってもピークで寒いかもしれないのでのんびり歩いていく。

生木割山にはアンテナとテントが一張あった。
生木割から櫃松尾山の間には崩壊地があって見晴らしが効く。
月に照らされた南ア南部の山々がその影を見せる。
櫃松尾山のピークはちょっと目指してみたがハイマツうるさいのでカット。

そして笊ヶ岳の登りへ。最初はゆっくり登っていたが富士山の向こうの空がだんだん赤くなってきて気持ちもはやり、結局この時間をピークで堪能しようということで大急ぎで登っていく。

 

ピークだけはハイマツからも飛び出し展望がよく効く。
朝焼けの空にどしりと構える富士山、反対側には荒川三山から始まり赤石、聖岳、小河内、茶臼、光岳と南ア南部、遠くには白根三山や仙丈ヶ岳、甲斐駒も見え、まさしく南アルプスの展望台だ。
しかもどれもうっすら雪化粧している。
昨日はあんなに遠かったのに今朝にはたどり着くことができて感動もひとしおだ。

手足が冷たくなるなか日の出を待つ。
明けの明星が消え、富士の頭に光が当たり始めてまもなく、雲海の向こうから真っ赤な太陽が昇ってくる。
何度味わっても最高の瞬間だ。
薄紫から橙と移ろっていく山肌を眺めつつ記念写真を撮って名残惜しみながらピークを後にする。

今回、最後のピークである布引岳まではあっという間。
名残惜しいがここで稜線はおさらばだ。
少し下ろしたら崩壊地に出る。なかなか迫力があっていい感じだ。抜けるような青空が気持ちいい。

さてここからは、ここまで歩いて疲れてきた足に鞭を打つような、急斜&急斜&急斜て一気に標高を落としていく。
標高を下ろすにつれて植生と季節を遡っていき、気がついたころには美しい紅葉の森となっていた。
カラマツやブナの広葉樹の黄色が陽光で煌めき美しい空間を作り出している。文句なしに今年一番の紅葉。急斜の下りのしんどさも忘れて景色に見とれながら下っていく。

山と高原の地図でワイヤー散乱とあるあたりには散乱どころかトラップのように埋まっているところもあり怖い。
ちょっと楽しみにしていたシロヤシオの巨木はスルーしてしまし山の神へ。このあたりまで来ると黄色に赤が混ざり始める。
尾根の南側は紅葉真っ盛りだが北側はすっかり葉が落ちてしまっていてなんか面白い。

そんなこんなで広河原まで。徒渉点の増水を心配していたが、問題なく渡ることができた。
そこから先は林道歩きと思いきや橋が崩壊していたりしてちょっと沢型をこえるところで緊張するところもちらほらあった。
林道も渓谷添いの紅葉が綺麗。林道の終わりあたりではもうすぐ冬だというのにせっせと飛び回るミツバチやでっかいヤマカガシを見たりして集落へ。

最初は歩き通せるか不安だったが、ここまでみんなで歩き通せて久々に達成感に溢れた縦走になった。
遠くにはさっきまでいた稜線の端が見えている。

配車していた車に荷物と人を詰め込んで奈良田の温泉で汗を流して遅めの昼飯を食らう。ステーキベーコンが旨い。
後は足の疲労感を引きずりながら新東名を快走、うまく渋滞も避けながら家路についた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です