夏沢本番!@赤石沢~赤石岳(南アルプス)
山行名:夏沢本番!@赤石沢~赤石岳(南アルプス)
日 時:2017年7月14日(金)夜発~17日(月)
メンバー: K川 Sモア 他2
15日:08:57椹島ロッジ~10:00ナメ淵~12:45ニエ淵13:10~16:00取水堰16:10~16:30宿泊地
16日:04:35宿泊地~05:15門の滝06:00~06:20洞窟の滝06:50~08:00大ゴルジュ08:25~09:50獅子骨沢出合~11:30百間洞沢出合~14:10百間洞山の家
17日:04:29百間洞山の家~07:41赤石岳08:10~08:48北沢源頭08:53~10:18赤石小屋~12:54椹島ロッジ
ついに夏沢本番始動!
沢の王と名高い大井川源流部の赤石沢へ。
後輩のK野きゅんと同じ関西岩峰会に所属するK林さんの4人で挑む。
去年の9月に悪天でお流れになって以来、さらにK川大学4年以来7年越しのリベンジだ。
果たしてどうなることやら。
草津駅に集合し、久々の第二東名を飛ばして静岡まで。
そこからさらに暗い山道を越えて畑薙ダム手前の臨時駐車場までいって一眠り。
15日 圧倒の水量、難関の前半部
仮眠をしていたが、思ったよりも早く駐車場が騒がしくなってきたので起床。
すでに荷物をまとめて列をなしてる人たちもいる。
我々も適当に準備をする。
ふと見覚えのある車だなと思っていると、うちの会の縦走班の人たち。聖から荒川までの長丁場だ。お互いの完遂を祈る。
岩峰のほうの縦走班にも会うことができた。
予定の時間よりも早くバスがやって来て並んでいる人たちを詰め込んでいく。
ギリギリ第一陣に乗ることはできず、第二陣の最初のバスへ。
ドワーフのようなドライバーの快速走行。ちょっと死ぬかもと思ってたが結局爆睡。
気がついたら椹島だった。
一昨年の年末年始以来の椹島。ロッジもおしゃれでいい雰囲気だ。
さて、少し登り返していよいよ赤石沢へ入渓。
小屋の人やバスの運転手は水量少な目というが果たして。
青空に輝く赤石岳をバックにdepa写真を撮って出発だ。
ちょっと頼りないハシゴを下ろして沢身へ。
最初のうちはゴーロ歩きだが、早速太ももくらいまで浸かることも。
心配していた水温も冷たいものの思っていたほどではない。
少し進むと水位計があり、そこて膝くらい。多いのか少ないのかはよく分からない。
しかし、水量の多い沢が不慣れなこともあり、ちょっとした段差を巻くか登るか、面倒なところで、渡渉するかしないかの判断、突破に時間がかかり、思ったようには進めない。
そんなこんなで、イワナ淵へ。
釜持ちで水流の強い段差が行く手を阻む。
最初は左岸からへつって水流を横切って右岸に移ろうとするも、あまりに強い水流に流されて敗退。
K川が得意の泳ぎで右岸通しに突破し、K林さんもそれに続く。
Sモア、K野も続こうとするも、水流に阻まれなかなか突破できない。どうやっていったんだ、あの二人。
そうこうしているうちに、K川が戻ってきてザイルを引き再突破。それを頼りに後続も突破。
ザイルがあってもなかなか厳しい水流だった。
イワナ淵の上で流木に股がって渡るところがあった。
その後いくつか水流の強い段差を越えていくと、水量の多い4mほどの滝を持つ淵が現れる。 ナメ淵のようだ。
やはり、滝の手前の水量が強そうだ。
K川が右岸通しに突破を図るも、あと一歩のところで敗退。
気を取り直し、K林さんがザイルを引いて力強い泳ぎで突破するが、その先のルートが見いだせず10分くらい水に浸かったままで寒そう。
とりあえず、流木にロープをフィックスしてもらい後続も滝の手前まで。
右岸の巻き道に上がれそうなので、Sモアが偵察に出ると簡単に滝上に出れそうなので後続を待っているもなかなかこない。
どうしたのだろうと、戻って見るとどうやらフィックスしていザイルを流してしまったらしい。あれま…敗退の二文字が頭をよぎる。
とりあえず、見つけた巻き道は少し手前から続いているようなので、K川と若干ハイポ気味のK林には休んでもらい、戻れるか確認するのも兼ねてK野とSモアで偵察。
30mくらい戻ると奇跡的に引っ掛かっているザイルを見つけて大喜び。
K野キュンに回収を任せて、休んでいる二人にも知らせて一安心。なんか嫌な感じのヒヤリハットだった。
そんなこんなで時間をかけてナメ淵を突破する。
その後も水流の強い段差をこなして進んでいくと、少しゴルジュ地形で右岸からすだれ状の滝が懸かり、迫力の3段の滝が眼前に現れる。
写真でよく見るニエ淵だ。
ここは、K川から前回来たときに突破が怖かったと聞いているので緊張が高まる。
とりあえず一息ついて、左岸の岩棚つたいに滝の落ち口までいく。
ここからは少し立っていて微妙な感じだが、シュリンゲ付きの残置ハーケンがあるので、それにシュリンゲを継ぎ足し、振り子して滝上の釜に出る。
落ち着いていけばなんら問題ないが万一みすると滝の激流に巻き込まれどうなるか分かったもんじゃない。滝上の釜の水流がもっと強いとかだと難しさは増すかもしれない。
そんなこんなで前半の核心っぽいニエ淵を突破したが、なかなか時間がかかっている。その後も相変わらず水量の多く、段差を越えるための渡渉でスクラム渡渉をしたりしながら進んでいく。
続くは、滝上に巨岩の乗っかった逆くの字の8mほどの滝。
左岸を登るのだが、取りつくために強い水流をひとまたぎしたければならない。
リードのK野キュンは飛び越えてうまく取りつくいたが、後続はうまくいかず、水の中からハイステップでよいしょと上がって取りつく。K川は失敗して顔面を強打し、唇を切っていた。
登はん自体は上部がちょいむずくらいだ。
さらに進むと直角に曲がる狭い淵が現れる。強い水流は避けて右岸側壁を4mくらい登るがなかなかに手強い。
空身のK野キュンにロープを引いてもらい、ザックを吊り上げて後続も登る。
最初の数手がスタンスが乏しくて難しい。そうこうしているうちに、後ろから3人組のパーティーが追い付いてくる。ぶなの会の人たちだそうだ。
てこずっていたK川の補助をしてくれたかと思えば、慣れた感じで水流通しに右岸を登りあっという間に突破してしまった。そっちのほうが楽だったようだ。
ここからはさらに、巨岩の積み重なった滝をここを過ぎると川幅も広がり落ち着いた雰囲気となり、ようやく取水堰に至る。
取水堰手前で釣り師二人とすれ違う。水量な多目とのことだが果たして…。
ここまで予想のコースタイムより1.5倍くらいかかってしまったので、北沢出合付近でテンバを探すと消えかけの焚き火が残るいい感じのところが。
さっきの釣り師のものだろうか。ありがたく使わせてもらう。
ツェルトとタープを設営し、消えかけの焚き火を再点火して、さくっと米を炊き、冷したビールを飲みながら今後について話し合う。
明日の行程は13時間。核心といわれる門の滝や洞窟の滝があり、雪渓の量もいまいちを分からないという微妙な感じだ。
ここまでコースタイムがかかっていること、引き返すのもなかなかに大変そうなこと、火曜日は仕事休めるかなど、いろいろな考えが巡りお通夜状態だ。
ペミカレーを頬張りながら、明日は早出して門の滝までどれくらいのコースタイムで進めるかで進むか引き返すを判断することにする。
そうと決まれば酒やつまみもそこそこにシュラフに潜り込む。
今回のために新調したシュラフがとても暖かく、快適だったのが唯一?の救いか。
16日 ガンガン進む!
眠い目を擦りながら二時半起き。
棒ラーメンに昨日の米をぶちこんで作ったウズラ入りラーメン雑炊をかきこんで片付けをすると以外と早く整ってしまい30分ほどうだる。
明るくなり始めた4時過ぎくらいから再度準備をして4時半くらいに出発。
朝から膝上渡渉もあるが今日はめげずにガンガン渡っていく。
巨岩混じりのゴーロだが、今日はルートファインディングもいい感じでできてテンポよく進んでいく。
巨岩の積み重なった大きな滝を左岸から巻きぎみに越えてそのまま左岸の台地を進んでいくと巨大な滝にぶち当たる。門の滝だ。
何度も記録で写真は見たがやはり実物の迫力は段違い。
水流をX字状にしている滝上の岩もどんだけでないねんっていうくらい巨大だ。
さて、まずは今いる左岸の台地から細い草付きバンドを進んでいき滝身の近くまで行く。
足元はちょっと不安定で高度感もあるがノンザイルで行く。
ホールドの足しにカムで支点をとりシュリンゲを足らす。
そのまま滝上部の左岸を直登できそうだが、スピードと安全重視でバンドの終わりの微沢から草付きに入って直上し、K川が以前来たときに使った巻き道に乗ることにする。
先の様子が分からなかったのでK野キュンにザイルを伸ばしてもらう。
途中に残置ハーケンもあったが、ザイルは入らないくらいだ。
後続が登る間にK野キュンに偵察してもらうが、巻き道はわりかしはっきりしている。
斜上して灌木帯に入り、微沢沿いに登って簡単なところで渡り、適当に歩きやすいところで沢身に下ろして巻きは終了。
ここまで1時間ちょい初めて大幅にコースタイムを巻くことが出来た。
この調子でガンガン進もうと俄然息巻いて進んでいく。
少し進むと洞窟の滝が出てくる。滝身の右側の大きな岩が覆い被さったところの奥に残置ハーケンがあり、まさしく穴を潜り抜けて登はんする感じになっている。
さっそくかK野きゅんにザイルを引いて空身で登ってもらう。
わりかしするする登っていき、穴の上へ。その上の白い残置シュリンゲはアブミとして使い、上へ抜けて終了。
K林さんが二番手で登り、細引きを足らしてザックを引き上げる。
K川も残置にさらにシュリンゲを継ぎ足して突破。
続いてSモアも登り全員上へ。
確保の支点は残置の他にカムで取っていた。
少し進むとクズレ沢出合い。ここまで2時間半弱。なかなかいいペースで来ているので、ちょっと一息入れる。
このペースでいけば百間洞のトンカツもなんとかなりそうだ。あとの不安要素は雪渓か。
クズレ沢出合から先は赤石沢の代名詞とも言えるラジオラリアがとても顕著になる。
赤が優先するナメを青い青い水が流れていき、得も言えぬ美しさだ。
ここまで険しいルートが続いていただけに自然と顔がほころぶ。
さて、美しさを堪能しながら進むと前方にかかる連瀑帯の左岸が大崩壊している地点にさしかかる。
名前のとおりの大ガラン。落石に注意しながらトラバり上がるが特に難しさはない。
適当に抜けるとついに前方に大きな白い物体が現れる。
雪渓だ。がっつり行く手を阻んでいるようで緊張が走る。
雪渓は三股の右股、中股に残っており、本流は右に曲がって相変わらず水を湛えているが、その先は深いゴルジュに滝が懸かり、どうあがいても中は行けなさそう。
どうやらここが大ゴルジュのようだ。
というわけで、右岸の灌木帯から巻かなければならないが、中股に入れるか。
雪渓に近づいて偵察してみると、なんとか右手から乗らずに通過できそうだ。
バイルを出してホールドにしながら念のため一人ずつ素早く通過する。
振り返ると真ん中の部分は結構薄めだった。
そんなこんなで中股に入り30mほど登ると右手に巻き道っぽい踏み跡が伸びているので入って進んでいく。
急な箇所もあるが、概ね巻き道はしっかりしており、木や根も豊富。
ちょっとトラバースに入るところをスルーして登りすぎてしまうが、ちょっと降りてそれらしいところを進むと自然と下り始め、特に困難もなく沢身に戻ることができた。
大ゴルジュ手前の三股に雪渓が残っているくらいなので、例年通りもしくは少ないくらいかと思いながら進むと、また眼前に雪渓が現れドキッとするが、大雪渓沢からせり出しているだけなので、問題なく通過できる。
美しいラジオラリアが続く中、獅子骨沢までたどり着く。
天空から降り注ぐと本に書かれているが、確かに下部は雪渓で埋まっているものの、上部は空から滝となって降り注いでいる。
ここまでくれば、問題になる箇所もなくなり、コースタイムも5時間とかなりいいペースだ。
このあたりにくると巨岩で構成される段差を直登したり、適当に巻いたりして進んでいく。すると一際美しい釜が迎えてくれる。イワナの大釜だ。
こんなに美しい水を見るのはカウンナイ以来だろうか。
しかも尺イワナがわらわらいる。
いてもたってもいられなくなり、釜に飛び込んで泳いで見る。とっても冷たいが気持ちいい!
一通り堪能して右岸から巻く。
巻き道も大したことなく、右岸をへつり上がって巻きに入ってもいい。
イワナの大釜から少し進むと裏赤石沢。水量も大分少なくなってきたといいつつ、普段登っているくらいは優にある。
右岸左岸とわたりながらちょろちょろ出てくる段差を巻いたり登ったり。
ここまでくると体力勝負といったところだ。
ようやく百間洞沢出合たどり着く12時前くらい。トンカツを確信する。
出合からいったん沢は広がり倒木などが多くて少し荒れた感じになるが、少し進むとにいくつか滝がある。3段の滝は、左岸の草付きっぽいところからさっくと巻く。
二つほど段差をこなしたあたりに出てくる直瀑はザイルを出して右岸から。
ふと振り返ると聖がいい感じで見えている。
再び沢が狭まる先に百間洞の滝。これまではなかった女性的で美しい滝だ。
巻きは左岸の微沢を登り、少し外傾した一枚岩を越えて灌木の中に入って滝上へ出る。
ここから先は源頭の様相を呈してくる。
高山植物には少し早いみたいだがいい雰囲気。この辺で泊まれたら気持ち良さそうだ。
三度雪景がでてくるが両岸共に緩いのでなんとでもなる。
沢中、川岸を歩いたりしながら登っていき、最後のひとふんばりを登ると小屋の姿が。
ここまで9時間半くらい大幅にコースタイムを巻いて無事にたどり着くことができた。
健闘を 称え合いがっつり握手。決してK川と二人だけでは来れなかった。
K川も7年越しのリベンジを果たすことができ感無量の様子だ。
百間洞の小屋はどことなく奥手稲の山小屋に似ててほっとした気持ちになる。
荷物を置いて、寝たりビールやジュースを飲んだり思い思いに過ごす。
ほどなく夕立がそこそこ強く降り始める。これに捕まることもなくてよかった。
そしておまちかねのトンカツタイム。思わず歓声が上がる。
今日の疲れを一気に吹き飛ばしてくれる。ゆめぴりかのご飯もたんまりおかわりして大満足。
満ち足りた気分で布団に倒れこみ床についた。
17日 赤石岳を経由して下山
3時に起きるも外はガスガスだったのでしばしうだうだ。
結局お弁当を持って出発したのは4時半くらい。
ガスと風と時折雨といったところ。まあ昨日一昨日あんだけ持ってくれたので文句はいうまい。
広くて気持ち良さそうな百間平を経て、赤石岳を登っていく。途中、ライチョウにも出会うことができた。
疲れの残る体で踏ん張って赤石岳を登りきり、避難小屋に転がり込んで、朝御飯タイム。
冷めても美味しいゆめぴりかの天むすが美味しい。
あとは、標高を下ろすだけといっても2000m一気に降りなくてはならないのだが…
飛びそうで飛ばないガスにヤキモキしながら稜線をあとにする。
しばらくは北沢のカール沿いに下ろしていく。
冬に登ったときは小赤石に付き上がる尾根を登ったが今回はそれを巻くように下りる。
北沢を見下ろすと雪渓がびっしり詰まっていて、これを登るとはさすがぶなの会といったところか。
カールのお花畑はハクサンイチゲやシナノキンバイが最盛期でお花畑がとても綺麗。
カール沿いを外れてトラバースが始まっていてすぐくらいに4人組のパーティーがいた一人は怪我をしているようだ。
大丈夫そうな様子ではあったが、顔から血が出ている人がいた。
赤石山荘の下ですれ違った救助隊の話によると2,30m滑落したらしい。
最終的にはヘリで救助されたようだ。
標高を下ろし、富士見平に着く頃にはガスも飛び、正面には富士山が見え、振り返れば、左から聖、赤石、荒川三山が一望できる。
写真を思い思いにとって下っていく。
ここからは赤石山荘にちょっと寄ったくらいでひたすら無心に下り続ける。
急なところと緩いところを繰り返しながら標高を下ろしていく。
下ろすにつれて気温も上がり、ヒイヒイ言いながら、最後の急斜を足をガクガクさせながら下っていく。
赤石山荘から二時間強くらいで下りきり、充実した疲労感と共に椹島にたどり着く。
ロッジが見えたと思ったら「サモアー!」と縦走班の声が聞こえてきて思わず駆け出してしまう。
お互いの完走を労い合うがすぐにバスが出るようだ。
急いで受付をしてちゃっかりソフトクリームを買ってバスに乗り込む。
行きとは打って替わって穏やかな運転。行きは爆睡だったが帰りは寝ずに冬に歩いたこの道を振り返る。
小一時間で畑薙ダムの臨時駐車場まで戻り、適当に荷物を詰めこんで白樺の湯で汗を流す。
バスに乗っていた人たちが押しかけお風呂場は結構、混雑していた。
その後は縦走班とは別れ長い山道を越えて静岡のハンバーグチェーン、さわやかに向かうも一時間待ちで敗退。
となれば高速にのってサービスエリアのジャンクな飯でお腹を満たす。
あとは、高速道路を快走して草津まで帰って解散。
本当に充実と感動と疲労に満ちた、山にどっぷり浸かれる山行だった。