アルパイン@白馬主稜(北アルプス)

山行名:アルパイン@白馬主稜(北アルプス)
日時:2017年4月21日(金)夜発~23日(日)
メンバー   M田    S K T橋ゆ T柳 K川

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今年の春は鹿島槍東尾根と白馬主稜を目していたが、鹿島東は諸事情で流れてしまった。
今回は6人と大所帯で白馬主稜を目指す。天気は上々そう。
果たしてどうなることやら。

10時ごろに山科に集合し、白馬を目指す。
二週続けて白馬周辺だ。S さんがずっと運転してくださり安曇野まで快走。
道の駅松川で仮眠を取る。

22日 標高上げの1日
5時起床で朝御飯を食べつつ白馬村へ。
猿倉荘までの道が開通するのはGWからなので、猿倉橋から6km、1.5時間の林道歩き。
猿倉橋の駐車場には同じく主稜を目指すであろうパーティーがちらほら。

カタクリやキクザキイチゲ、フキノトウが顔を出す林道をえっちらおっちら歩いて猿倉荘まで。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ここからは雪たっぷり。一瞬白馬槍方面へとトレースに騙されたりしながら、白馬尻へ向かう。
寒気が残っているせいかいまいち晴れない。

白馬尻から大雪渓を少し歩いて主稜に取り付いて、ひたすら標高を上げていく。
最初はツボ足だったが、1800mくらいのクラックでできた段差のところからアイゼンを履いて登る。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

テント適地は2050mくらいからだろうか。
2150m八峰のリッジが始まるあたりを開削してジャンボエスパースを張る。
白馬尻からここまで、3時間くらいだ。

天気も良くなってくる中、テントを設営していると、先行して六峰手前の急なリッジに差し掛かっているパーティーの一人が滑落し、思わず声を上げてしまう。
雪がグズグズでバランスを崩したのだろうか。
その後のやり取りを見ているに滑落者に大きな怪我はないようだが、これから行くルートなので不安と緊張が広がる。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そんなこともありつつ、テントを設営し中でぬくぬく。
酒を飲んだり、下らないことや真面目な話をしたり、うたた寝したりして時間を過ごす。

晩御飯のメニューはクリームシチュー。
しかし、久々に米を焦がすという痛恨のミスを犯す。まあ、なんとかなったが。

明日は気合の2時半起き!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

23日 充実の主稜登はん
朝起きるとテントとの結露は霜になっている。思ったよりも冷えたようだ。
外は快晴。天気は心配なさそうだ。
朝飯は肉うどん。あさっりジューシーで気合が入る。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

外に出ると雲海の向こうの空がうっすら赤くなり月と明の明星が輝いている。
これから目指すルートをバックに写真を撮って気合を
今日はいきなりリッジからスタート。ダブルアックスでしっかりとアイゼンを効かせながら登っていく。

少し登ったあたりで日の出を迎える。目の前に聳える白馬が真っ赤に染まり、思わずため息が漏れる。
振り返れば下界方向は雲海が広がりこっちもいい感じだ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

昨日の滑落現場はかなり斜度のあるリッジ。滑落痕がばっちり残っている。
大分下まで落ちたようだ。沢底にトレースが残っているので恐らく自力下山はできたと信じたい。
確かにかなりの斜度でリッジ状になっているので、慎重に通過すして六峰の上へ。

ここまで3つほどテントがありトレースもばっちりだったが、ここからは先に見えた単独行の人のみで、トレースもうっすらだ。

ルートとしては、アップダウンのある細いリッジと急な斜面が繰り返し出て来て、時おりある広いところで一息つけるといった感じ。
日が当たっている部分は早くも雪がぐずぐずになっているが、急斜は雪が硬くステップが決まりづらい。

ただ時おり、ザックを下ろして休めるような場所もあり一つ一つのポイントで落ち着きながら進むことができる。
進むにつれて確実にピークが近づいてくるのが分かるのもいい。
2人~4人用テントなら張れそうな場所もちらほら。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

四峰を過ぎた先で、尾根上の大きな雪庇が崩れて5mほどの段差になっている。
samoaがノーザイルで行くが、かなり立っていて雪がグサグサでバイルが効きにくいので短いがザイルを出す。
スタンディングアックスでエイトノット中間に作って確保して通過する。

後続パーティーはザイルを出したり出さなかったりといったところ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

三峰で一息ついて、二峰の登りに差し掛かるところの小さい岩稜を左から巻いていくところの30m強が傾斜のきつい雪壁となっている。
これまた雪がグズグズなのでザイルを出すことにする。
準備している間、ノーザイルで抜けていくパーティーも何パーティーかあった。白馬尻ベースで荷物が軽いからかスイスイ行く人もいるが、少し苦戦している人もいた。

tentyoがトップで抜けて、ザイルをフィックスし、後続は登降器で登る。
中間部の斜度が特にきついのと雪がグサグサなのがやはり緊張する。
上も支点はグサグサで微妙だったようだ。
M田さんが言うには右から回り込むのが楽なルートらしい。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

終了点からもうひと登りすると二峰の上へ出る。
さぁ、最後の雪壁だ。

二峰手前で多くのパーティーに抜かれて気がつけば後ろは1パーティー。昨日からずっと抜きつ抜かれつの二人組だ。
なぜだか(笑)Kさんの名前を覚えていて、「あれ?Kさんパーティー?」と声をかけてくれる。

さて、前のパーティーが登り終えたの見て、我々も攻略にかかる。
50mザイルギリギリいっぱいなので、なるべく登ったところを始点とする。

登るにつれて斜度が増していき、ハングになっている雪庇の下を左に回り込んで稜線に出るが、最後の5~6mが本当に雪壁。
ダブルアックスを効かせながら一歩一歩慎重に足を上げていく。
最後の乗り込むところがバイルの効きが悪く緊張するが、気合で稜線へ出る。

目の前にはピークのボッコ、その先には劔が雄々しく聳える。
最高の気持ちよさに思わず雄叫びを上げてしまう。

稜線の雪は締まっていて、スノーバーがバッチリ決まる。
バイルも打ち込んでしっかりフィックス。後続は登降器で登ってくる。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

やはり最後の雪壁で苦戦するも、確実に一人一人稜線へ上がり、末端のtentyoが登り終えて登攀終了。

今回は、本当にパーティーの総合力で難易度の高めの白馬主稜を歩ききることができた。
本当に気持ちのいいピーク到達だ。
パーティーのみんなとガッツリ握手を交わし、達成感と充実感を分かち合う。

目の前には毛勝から劔、さらに黒部五郎や三俣蓮華岳といった黒部を取り囲む山々、奥には槍穂と素晴らしい眺望。

20170423-323-X-T2

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

170423-132245

思う存分景色を堪能し、記念写真とヤッホーをして下り始める。
途中白馬山荘で一息入れたりして、大雪渓へ。
尻セード祭かと思いきや、グズグズ雪で思ったほど滑らない。
しかし、大雪渓から見上げる杓子のジャンクションピークは迫力がある。
少しダルさも感じるが、燦々と降り注ぐ陽光のもと大雪渓を降りるのも気持ちがいい。スキーがあったらいいな。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そんなこんなで1時間半ほどで主稜の取り付きまで降りてくる。この辺りはデブリもあり、少々歩きづらい。
白馬尻で一休みして、猿倉へ向かう。行きの思ったほど遠くは感じなかった。アイゼンを外して足が軽やかなったからかもしれない。
猿倉から先は再びダルい林道歩き。12時間歩いた最後にこれはかなりきつかった。

ほぼほぼ日没の時間くらいに駐車場にヘトヘトになりながら辿り着いた。
しかし、充実を伴ういい疲労感だ。適当に荷物を片して、八方の湯で汗を流す。
温泉からは暮れなずむ白馬三山を望め、本当にいい山行だったなぁとしみじみ思いながら、長い長い京都への帰路についた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です