縦走@北ア・乗鞍岳から十石山へ
安房峠と乗鞍岳の間にある十石山へは白骨温泉から登山道があり、平湯から乗鞍岳へも整備されているようだ。
4月の十石山、安房峠の縦走の続きとして今回この区間を歩くことにする。
標高が高く、高山帯で展望は良さそうである。
平湯との分岐点である権現社から十石山の間は何故か登山地図に登山道の記載が無いが距離は短く問題はないだろう。
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【行程1日目】行動時間 6時間00分 天気 晴れ時々曇り
畳平バスターミナル10:00?10:50乗鞍岳11:00?11:40畳平12:00?12:25平湯・十石山登山口12:30?硫黄岳西側巻き13:15?13:40 2328mコブ 14:05?14:20権現社(平湯分岐)14:25?14:50 2,532m峰15:00?16:00十石山
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松本駅に4:40定刻着の夜行バスで到着すると松本電鉄の臨時列車が無い。接続が悪く、乗鞍畳平バス停には計画より3時間遅れの9時50分に到着。
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畳平から乗鞍岳に往復後、スカイラインを歩いて平湯・十石山登山口へ
雲が多く、風もあるので暑さは感じない。
大勢の観光客に混じって山頂を1時間40分で往復。
バス停前の長椅子でおばさん達に混ざって行動食を食べ20分余り休憩してスカイラインを歩き出す。
結構自転車の人達が行き来しているが登山者はいない。
車道歩きは一般車が通行止めになっているので静かで思っていたよりもまずまず快適。
夏雲が湧いて夏山らしさを満喫できた。
スカイラインのすぐ脇にクロユリの花が咲いている。
こんなところにも咲くのかと感心する。
平湯温泉と十石山への分岐点には立派な道標が建っている。
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平湯・十石山登山口から権現社へ
最初は少し急な下りから始まるがすぐに傾斜が落ち着いて多少のジグザグをきって下降していくと、鞍部のところでカモシカが2頭稜線を行ったり来たりしている。
しばらく観察するが、やがてハイマツを揺るがせながら、2頭とも緩い沢に向って歩き去った。
その鞍部を過ぎてしばらく背丈以上の潅木帯を通過し、硫黄岳への登りにかかる。
やがて砂礫が広がるところに出るとコマクサの群落があり、明るい砂地にピンクの華麗な花が咲き誇っていて思わず見とれる。
平湯方面から来た4人パーティとすれ違い、彼らも花を見て休憩している。
硫黄岳は山頂を通らず、西側を巻き進む。
緩い下りになると正面に槍、穂高連峰が迫り、これから向う十石山手前の大きな頂や4月に登ったアカンダナ山、安房山などが見渡せて気分爽快だ。
展望の良い尾根を下り東に向きを変えるが、日差しが強く大汗を掻く。
金山岩手前の最低鞍部辺りで長めの休憩を取る。
風が稜線を渡り心地良いが、なかなか汗が引かない。
背の低い広葉樹で明るい尾根だ。
7月だというのに桜が満開で面白い。
登りに転じて潅木の間をわけ進み、少し進路を左に振ると、十石山と平湯方面の分岐点である権現社に着く。
立派な社が祭られていて、その前はちょっとした広場になっている。
展望は良いが日当たりが良く、風があまり吹かないので暑い。
分岐点には十石山方面へのしっかりした道標が建っている。
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権現社から十石山・十石峠避難小屋へ
暑いので5分余りで休憩を切り上げ、十石山への道に入る。
途端に潅木の枝葉を掻き分け、潜ったり跨いだり、歩き難い道に変った。
踏み跡は分るが、半分藪漕ぎ状態となる。
残雪が残ったところがあり、その先に続くだろう道の場所を探りながら高度を次第に稼ぐ。
尾根が広く、道は稜線の左寄り山腹を振れながら続く。
潅木を潜ったり、体を通す隙間を作るため枝を手で押し分けるのに結構体力を消耗する。
2,532m峰の山頂に達すると目前に十石山が目に飛び込んだ。
大きな明るい岩が露出している山頂で展望がすごくいい。
振り返ると乗鞍岳の山並みが雄大で、夏雲を借景に濃い緑と残雪の白のコントラストが美しい。
平湯の温泉街も見え、笠ヶ岳も雲の合間から見えている。
ここから十石山にかけての平湯側は結構急な斜面になっていて、稜線まで岩場が迫っているのが見渡せる。
山頂を出発すると、今までの潅木からハイマツ主体となる。
踏み跡はあるものの枝が伸び放題で、手で枝を無理やり広げて進路をこじ開けたり、迂回したり登り越えたりで半そででは腕が傷だらけだ。
ハイマツのヤニがベタベタと肌に付いて暑さとでなかなか苦しい。
でも確実に十石山は近づいてきている。
鞍部辺りは痩せた尾根になっているが危ない個所は無い。
やがて登りになり、尾根が広がると幾分歩きやすくなる。
すこし草原が出てくるとハイマツの陰にひっそりと十石山の三角点が設えてあった。
十石山山頂はだだっ広くハイマツに覆われている。
今年4月の登ったときは残雪で埋め尽くされていたが、意外にもハイマツは背が高く、道の無いところはとても夏は歩けたものではない。
小屋に着くと誰もいない。
白骨側から結構登山者がいるものと勝手に思い込んでいたので調子抜けだ。
夕方、ガスが掛かってきて残念ながら夕日は見られなかった。
他に登山者は現れず、広い小屋で非常に快適な一夜を過ごすことができた。
夜中目を覚ますと、満点の星が輝いている。明日のご来光に期待。
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【行程2日目】行動時間 2時間30分 天気 晴れ
十石山6:05?十石山・林道分岐8:20?8:35白骨温泉
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十石山より白骨温泉へ下山
朝は雲海の上で迎えた。
刻一刻と空の色が変化していくのを山頂で眺めるがさすがに寒い。
また風が強いので持っている服を全部着込んだ。
なんといっても槍、穂高連峰が雄大だ。
南アルプスの背後に富士山も姿を見せている。
近くの鉢盛山も案外存在感がある。
夜明けのパノラマを楽しんだ後、小屋で朝食を作りゆったりした。
すっかり明るくなった6時過ぎ下山開始。
雪渓を3つほど横断するが、1箇所間違って下り過ぎ、登り返す。
5分ほどロスタイムだ。
よく見るとピンクのコースサインがハイマツに揺れていた。
朝から正面に太陽があり、暑い。
早く樹林帯に逃げ込みたいが、なかなか蔭にならない。
道はしっかりしているが、溝状のところが多く、ぬかるみや水溜りが多く、滑りやすくなかなか大変。
シラビソの木陰の道になると、暑さから逃れてやっと一息つく。
緩やかで単調な下りが長く続き、少し急な下降となると左側が深く切り立った尾根となる。
そこを越えるとまただだっ広いところに出て、木が高くなり、深い森の中ゆく雰囲気の良い場所となる。
やがて左に高まりを巻くところは平坦な道が長く、静かな森の散歩といった感じのところを通る。なかなか味わいがあるいい雰囲気だ。
営林署の看板のある小広場で休憩。
右眼下には白骨の温泉街が木の間越しに望める。
道は尾根を左に大きく旋回しやがて折り返してまた最初の尾根の続きに出る。
どうも唐松の植林時の道を利用しているようだ。
初めて登山者と出合い挨拶。
緩い斜面を下って三差路に出た。
右に90度曲がってイカリソウが咲いている場所を過ぎればすぐに車道に出た。
その少し手前にある分岐をそのまま下の方に向えば温泉街に近いが、「私有地につき立ち入り禁止」の看板が建っている。
しかたなくスーパー林道の車道を歩いてバス停へ。
バスの出発まで1時間余り。
予定通りの時間で下山した。
十数年振りに入った露天風呂はかなり改装されている。
昔日の面影は岩の凹みに感じることが出来た。
定刻のバスに乗り乗鞍高原経由で帰途につく。
大きく開けた窓から涼しい風が入る。
夏雲の間に十石山の残雪が覗いているのが見えた。
新島々からは列車を乗り継ぎながら帰途についた。