欲ばり四国の沢

04年10月に現地まで行ったものの土砂崩れで取付の魔戸の滝までも車で入ることが出来なかった。代替案として三崎めぐりをして海で遊び、讃岐うどんを楽しんで帰ってきた。あれから何度か四国の沢へ行きたいと思っていたがチャンスがなかった。今回、梅雨前で5月の沢として四国は暖かく、チャンスがやってきたと思い、T嶋さんに5年前の四国の沢をリベンジしたいと提案した。あの頃のメンバーはT嶋さんと私だけ、新しい顔ぶれが4人加わり総勢6人で行くことになった。

5月22日
京都駅22:50→京都南IC→新居浜IC→魔戸の滝3:30 仮眠
四国の山や沢を登るのは初めてでとても楽しみだった。心配していたお天気も問題なさそうだ。新居浜ICでおりて魔戸の滝へむかった。新浜ICから魔戸の滝までの行き方は、高速道路をはさんで北側の細い道を走り、種子川を渡ると「魔戸の滝」の看板がでてくる。あとは道なりに進めば取付きに到着する。我々は、IC下りてすぐに高速道路をくぐって南の道を走ってしまったので気づいたら山根トンネルまで行ってしまい、30分ほど迷ってしまった。

5月23日
起床7:00→出発8:20→魔戸の滝8:30→入渓9:10→950m地点屈曲点11:35→1260地点二俣14:30→稜線15:50→物住頭15:55→前赤石沢下降16:15→鏡沢出合18:45→T嶋さん合流→就寝21:30
魔戸の滝まで沢沿いの登山道を進む。全長200m、落差150mに及ぶ魔戸の滝を眺めて高巻きにかかる。登山道は歩きやすくドンドン進み高度を稼ぐ。谷へ戻る道も判りやすく歩きやすい。いっきょに高度を下げて入渓した。久しぶりの沢に気持ちは高ぶった。
谷は穏やかで、新緑・コケがとても綺麗で気持ちが良い。太陽の光が差し込みキラキラと谷は輝いていた。コケのせいかとても滑りやすく、沢始めということもあってステップがぎこちない。ゴーロ、釜を持った小滝の繰り返し。釜を泳いでまで登る気がせず、巻くことが多い。谷が右に屈曲すると短いゴルジュがあらわれた。右岸からの斜瀑は素晴らしい。ゴルジュは突っ張って越えることは出来ず、胸まで浸からなければいけない。水はまだまだ冷たく辛かった。この斜瀑を左岸から巻いた。谷に戻って休憩をとった。10時25分。
このあとも小滝は続く。滑りやすい岩に緊張した。そんな時トップを歩いていたH井さんが、足を滑らせて高さ2mぐらいのところか落ちて姿が消えた。慌てて近づくとわずかな岩の間にH井さんがいた。運よく頭はうってないとのこと。ザックがあったおかげで、背中・腰をうったが少しましだった様だ。痛みはあとから出るので骨に異常がないが心配だ。しばらく休憩をとり、H井さんの荷物はメンバーで分担して腰への負担を減らして、1100mの登山道と出合う地点までとりあえず遡行することにした。
トポに載っていたガイコツ岩のCSに10時45分に出合い、11時35分に左に屈曲する950m地点を通り、980mの右へ屈曲する地点で再度検討することにした。結局、T嶋さんとH井さん2人と我々4人に別れることとなった。2人は100メートルほど支流を詰めて登山道に早くあがり下山することとなった。4人は予定通り遡行して前赤石沢の左岸にある登山道を使って鏡沢との出合に下りて(当初の予定は前赤石沢下降だったが、おそらく時間が無いだろうということで尾根を下ることにした)、T嶋さんと出合で合流することとなった。(T嶋さんは、車で河又にまわり、林道を歩いてくることとなった)H井さんは、車でレストとなった。
12時10分に別れて物住頭1634mを目指した。あと650mも登らなければいけない。大丈夫だろうか・・・。この後もザイルをだしたり滝を巻いたりと思った様に進まない。もくもくと歩き14時半頃、西赤石山へ突き上げる谷との分岐点1260mに着いた。やれやれ。谷はこのあたりまでが変化に富んでて楽しかった。これ以降はダラダラとゴーロ歩きとなった。まだかまだかと思いながら進み、1420m地点で支流右俣へ入った。1500m地点から藪がひどくなりかなり苦労させられ、100m強登って物住頭にビンゴとはいかなかったが稜線に飛び出た。15時50分。この瞬間がたまらない!!辛かった藪こぎも、稜線に飛び出た瞬間の感動、素晴らしい稜線の景色を見ると吹っ飛んでしまう。4人で喜び合い物住頭へ向かった。携帯で下山した2人に連絡するが繋がらない。留守電に彼らの下山連絡が入っていた。時間も無くのんびりしてる暇はなかった。すぐに下山開始となった。16時15分。
東赤石山にむかって最初のコルから下る。ちゃんと標識があった。ちょっぴり安心と思ったが・・・。あまり使われてる道ではなさそうでかなり不明瞭。方角を確認しながら下る。次第に道はなくなり、だんだんルンゼにはいりこんでいってるのがわかった。おそらく前赤石沢だ。このまま進むと谷下降となる。どうしようかと悩んだが仕方がない。一番確実な下山だと思い、谷を下降することにした。しばらく傾斜はきつくてガレ場を下る。傾斜が緩くなる1050m地点まで下ったあたりから水が出始めた。地図によると850m地点で登山道と谷が交差してる様だが判らなかった。なんとかヘッドランを使わずに鏡沢出合いまでおりて来た。やれやれ。登山大系にはナメが多く美しい谷と書いてあったが、まったくだった。期待していたが、遡行価値はないと感じた。とりあえず無事下山できてホットした。
合流予定のT嶋さんはまだ来てない。ピークから連絡がとれなかったからか・・・。とりあえず河又まで下ろうかと思って林道を歩きだすとT嶋さんがやってきた。よかった?。
焚き火の準備をして疲れた身体を癒した。かなりハードな1日だった。K阪君がもってきたアジに秋刀魚等を焚き火で焼いた。沢で海魚を焼くなんて初めて。笑 美味しかった、ビールにバッチリ!!21時半頃シュラフに入った。夜中ポツポツと雨が顔にあたり目が覚めたが、ぐっすり寝ることが出来た。

5月24日
起床5:00→出発7:00→入渓→100m廊下7:30→鏡岩→稜線12:15→東赤石山13:50→下山15:40→河又→H井さん合流→温泉→うどん→京都駅
予定どおり起きて日帰り装備で出発。初日の前赤石沢にがっかりだったので、鏡沢に期待せず入渓した。堰堤を左から越えてゴーロ帯を進む。出発してから30分ほどで核心部の100mの廊下が現れた。昨日の西種子や前赤石沢とちがって谷は素晴らしく面白そうだ。直登するか少し悩む。トポには巻く様なことは書いてない。とりあえず最初の滝を越える。スラブですべりやすく、K阪君に手で足を押さえてもらいながらトップで登った。ザイルをだして全員越え、K阪君が続いて小滝を登る。続いてザイルをだしてシャワークライム。途中に残置ハーケンがあった。最後の斜瀑は左から越えて廊下を抜けた。これで終わりかと思いきや25m、20mと滝が連続する。スラブが多く苦手だった。スリング・ザイルをだしながら進む。続いて2段30mの滝は滝の右側からザイルをだして登った。続く滝は登れないと判断し、右岸から巻いた。谷は変化に富んでてとても楽しい。鏡岩を過ぎて、トポどおり谷の二俣を右へとって進む。谷はスラブ、ナメ、ゴーロへと変化し、次第に谷は狭くなって植林と石楠花の中を進む。ピンク色の石楠花が綺麗だった。藪こぎがあるかと思っていたがなく、トポに書いてあった3級の岩場もなく、高度を稼いで稜線にぬけた。1677m地点より東赤石山よりのコル1610m地点に飛び出た。下山は八巻山と東赤石山ピークを踏んで河又登山口へ下山した。稜線歩きはとても気持ちよく、景色も最高で、アルプスを縦走してる気分だった。

四国の山・沢は初めてで、こんなにも素晴らしい山があるなんて思ってもいなかった。谷は九州、特に鹿児島あたりと雰囲気が似てる気がした。今回遡行した3本の内、鏡沢が一番面白かった。

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